今年の8・15 反「靖国」行動は、「『代替わり』過程で天皇制と戦争を問う」をメインのテーマとして取り組まれた。
「退位特例法」をはじめとする天皇「代替わり」攻撃の進展に一定の危機感を感じる人が増えているからか、八月一一日に文京区民センターでおこなわれた前段集会「天皇制と戦争:アキヒトにも責任はある!」も、約一〇〇名の参加と盛況だった。
同集会の問題提起者は、日本近現代史研究の伊藤晃さん。
伊藤さんは、明仁天皇に顕著な「国民の天皇」としてのあり方を、戦後象徴天皇制の起点にある「人間宣言」のいうところの「天皇と国民相互の信頼と敬愛」の到達点として見ることを強調した。明仁は、「戦後の平和と繁栄、国際協調の戦後日本」というモデルを描き出しているが、それは戦後日本の像を過去へと延長してつくり出されている。国際協調は帝国主義列強による世界支配体制にほかならず、アジアを欠落させている。こうした日本の位置と行動を隠蔽するのが天皇の「おことば」であって、彼の「戦争責任」は、まさにその吐かれた言葉の中に示されている。また、戦前の「国民的」ナショナリズムと戦後の「国民」意識の連続性、憲法九条を言いながら自民党政権を持続させてきたような「戦後の二枚舌」のありよう、アジアにおける非武装と、それをベースにした民衆相互の連帯と討論の展望について語った。
8・15 当日は、あいにくの荒天の中、在日本韓国YMCAを出発点とするデモが一六〇人で行われた。
安倍靖国参拝違憲訴訟の会・東京、「日の丸・君が代」被処分者の都立学校教員、米軍・自衛隊参加の東京都総合防災訓練に反対する実行委、沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック、日韓民衆連帯全国ネットワーク、辺野古リレー・辺野古のたたかいを全国へ、2020「オリンピック災害」おことわり連絡会から、次々とアピールを受けてデモに出発。
雨のせいで私たちのデモの参加者もかなり減ったが、九段下に陣取って「カウンター」をうそぶく右翼・レイシストは、目に見えて動員力を低下させていた。
デモ中の右翼の妨害・暴力は例年に比べれば激しいものではなかったが、右翼を口実にした機動隊のデモ規制はあいかわらずであった。
(北野誉)