*2016年7月〜2018年4月に反天連ニュースに掲載された主張、声明、天野恵一の連載(マスコミじかけの天皇制)をまとめてパンフレットにしました。
2018年8月15日刊行/頒価300円
まえがき─このようにして象徴天皇制の強化・再編は準備された
反天連としては久しぶりのパンフレット発行だ。毎月のニュース発行にも喘いでいる私たちをパンフづくりに向かわせたのは、二〇一六年七月一三日、明仁の「生前退位」意向表明を伝えたNHKスクープ事件からの二年間が、あまりにもめまぐるしく過ぎ去ったからだ。事態は急ピッチで動き、新たな事態も次々と起こる。天皇課題以外の深刻な課題も多く、それはもう怒濤の日々としか言いようがない。多くの課題がバトンリレー競争のごとく次々と現れては走り去っていくように見える。実は何一つ走り去ってなどいないのだが、一つひとつの深刻な課題は、まるでゆめまぼろしであったかのように、テレビやPCの枠の中の現象として多くの人たちに消費されているようだ。
そのようななかで、私たちは天皇の意向表明以降、「生前退位」のための法制化問題、具体的な「代替わり」問題や、付随して出てくる「退位・即位・大嘗祭」、「改元」、等々の問題について、それらがいかに民主主義に反し、立憲主義を破壊し、主権在民も平等主義も政教分離原則も、投げ捨てることであるかを訴えてきた。
本パンフは、反天連がその時々において、“ニュース“Alert〟紙上で出してきた見解や主張の一年一〇ヶ月分をまとめたものだ。構成としては、二〇一六年七月号〜二〇一八年四月号掲載の、反天連声明【反天連からの呼びかけ】01〜03、主張欄としてある「今月のAlert」、天野恵一の連載「マスコミじかけの天皇制」10〜21を、時系列で並べた。それは、天皇制vs反天皇制の簡単な記録でもある。
わずか一年一〇ヶ月のことであるが、そこに横たわっているのは、戦後象徴天皇制始まって以来の、未曾有の天皇制強化・再編の歴史だ。だが、渦中を走っているときには、いろんなことが後景となって遠ざかっていくことが多い。すでに忘れさっていることもあるのではないか……。いかんせん、この怒濤の二年間に起こった時事は、数倍の年数分に相当する多さと言ってもおかしくないのだから。そして、私たちの「代替わり」に反対する運動は、まだまだ渦中にある。だから、ここで少し二〇一六年七月以降をふり返ってみた方がいいのではと、思うに至ったのだ。というわけで久しぶりのパンフ発行とあいなった。本パンフで、反天視点の約二年間をわずかでも読み解いてもらえれば嬉しい。そして、これからの反天皇制の運動をともにしていただければ、と願う。
二〇一八年八月一五日 反天皇制運動連絡会