【呼びかけ】天皇「代替わり」に反対する 2.11反「紀元節」行動へ

今年、1年をかけて行われる天皇「代替わり」儀式。それは、象徴天皇制の下で、隠されてい る皇室祭祀が、天皇制を支えるもう一つの柱にほかならないという事実をさらけだす。それらは 紛れもなく国家神道の儀式であることを無視してはならない。 私たちは、この「代替わり」総体との対決という課題を掲げた、今年の反天皇制運動を、天皇 制国家の起源として虚構された「紀元節」に反対する行動から開始する。 今年は、さまざまな天皇儀式が繰り出され、天皇制が神聖かつ大切なものであるという意識が、 人びとの日常意識にすり込まれる。それは、天皇の神聖性を通して日本国家の神聖性を自明のも のとする、国家主義の攻撃でもある。こうした攻撃にひとつひとつ反撃し、さまざまな視点から 天皇制を問い続けていこう。まずは、2.11 反「紀元節」行動へぜひご参加下さい。

講 師:菱木政晴 さん(靖国合祀イヤですアジアネットワーク、即位・大嘗祭訴訟呼びかけ人)

[日時]2月11日(月・休)13:15 開場(13:30 開始)集会後デモ

[会場]在日本韓国 YMCA 9F 国際ホール(JR・地下鉄水道橋駅)

[資料代]500 円

主催 ●天皇「代替わり」に反対する 2.11 反「紀元節」行動

【呼びかけ団体】 アジア連帯講座/研究所テオリア/戦時下の現在を考える講座/立川自衛隊監視テント村/反安保実行委員会/反天皇制運 動連絡会/「日の丸・君が代」強制反対の意思表示の会/靖国・天皇制問題情報センター/連帯社/労働運動活動者評議会

2/11行動へ集まろう

*この行動は終了しました。

→こちらに写真があります。

【学習会報告】橋川文三『ナショナリズム─その神話と論理』(二〇一五年、ちくま学芸文庫)

かつて急速な資本化国際化が進行していく状況の中で、「世界」が多くのひとの思考に像を結び始め、そのなかで「国家」意識、「国民」意識として、ナショナリズムは形成されていった。近現代においては、神の国ではなく人間社会の中で、その秩序と認識を「一般意志」にするべく、古くからの郷土感情や部族意識、さらにパトリオティズムなどとともに、さまざまな役割を与えられ担ってきた。

橋川は「戦中世代」であり、超国家主義や国粋主義が暴力と結びつく時代の中で精神形成を行なってきた経歴を持つ。だから、橋川の関心は、ナショナリズムの一般的な形態を見出すことよりも、幕藩体制から明治国家形成という日本近代国家の歴史を見据えるなかで、形成された日本のナショナリズムがどのような結末に至るかを、精神的・内的な経緯をふまえながら後づけていくことに向かう。

その分析を経たのち、橋川は、日本近代の天皇制のなかでは「天皇の意志以外に『一般意志』というものは成立しない」。「もししいて天皇制のもとで国民の一般意志を追求しようとするならば、それはたとえば北一輝の場合のように、天皇を国民の意志の傀儡とする道しかなかった」。それは不可能であることが立証され、「日本人の『一般意志』は、それ以来いまだ宙に浮いたまま」とするのである。

これらの論述は語り口もふくめて説得的だ。しかし橋川は、この書物では歴史の分析について「自由民権」期にとどめ、その後も、日本のナショナリズムと天皇制について論じるときには、具体的な分析より時代の「精神」を論じることに向かった。橋川の手法に倣ったままでは、掴みだされたはずの天皇制もナショナリズムも、「宙に浮いた」姿で君臨させられそうだ。橋川は対象に深く寄り添う。しかし、現在の社会のなかで「一国主義」に煽りたてられる「ナショナリズム」の問題は、この方法になじみにくいように感じる。

次回は二月二六日、『天皇と宗教』(講談社学術文庫・天皇の歴史9)を読む。

(蝙蝠)

【集会報告】オリンピック災害おことわリ連絡会・二回の学習会

2020オリンピック災害おことわり連絡会(おことわリンク)は、今年も新年早々の一月五日(土)@文京区シビックセンター、二七日(日)@小石川運動場会議室と、二回の学習会を開催した。

五日は講師の井谷聡子さんの「スポーツとジェンダー・セクシャリティ〜ナショナリズムと植民地主義の視点から」と題する、実に興味深い講演だった。論点は四つ。(1)「女性のオリンピック参加の歴史」、(2)「オリンピックと人種主義、国家主義〜優越人種・民族としての自己の構築」、(3)「オリンピックと植民地主義〜『他者』の構築」、(4)「女子アスリートというアンビバレンス」。このコンテンツだけでも興味をそそられる。

たくさんの興味深い話の中で二点だけ紹介する。一つは「近代オリンピックの父」と言われるクーベルタンが言い放った言葉。女性のオリンピック参加については「非実用的で、面白くもなく、見苦しい上に、はっきり言うと下品である」「女の光栄は、彼女が産んだ子どもの数と質を通して勝ち取られるもので、スポーツについていうなら、女の最大の功績は彼女自身が記録を目指すことではなく、彼女の息子が卓越するように励ますことだ」。どこかの一族の話かと思うよね。そして植民地との関係については「オリンピックは、植民地の人びとに規律を教える壮健な手段」。井谷さんは「当時の一般的な男性による女性観」であるが、オリンピックがそのような女性観で始まっていること、オリンピズムが植民地主義的態度を内包している問題を指摘。支配者・有力者たちの論理はどこの国も似通っている。

二点目は、さまざまな問題を列挙した後の彼女の結論。こういったオリンピックの抑圧システムに対して、連帯して抵抗することなく、スポーツにおける「平等・正義」を求められるのか、というラディカルな問いかけだった。

二七日は谷口源太郎さんによる「誰のためのスポーツなのか〜市民参加への道」講演と映像。世界規模で”Do Sports”(するスポーツ)が、オリンピックなど国際スポーツイベントによって潰されていく問題、その根本にある行政によるスポーツ施策の問題を、一九九二年製作のBBCドキュメンタリーと、一九六〇年代後半に始まった兵庫県・垂水住民による、”Do Sports”のための試みを記録したフィルムを見ながら、谷口さんの解説を聞いた。こちらもとても興味深い内容だった。

「スポーツが政治に飲み込まれた時代の反省」からドイツで起こったゴールデンプラン。「政府は援助はするが支配しない、運営側は特定の政党に与しない」というパートナーシップ原則。しかしそれも整備費用・運営のための維持費の継続が前提である。条件は厳しい。

“Do Sports”からはほど遠い人生を選択したかのように思える私は、”Do Sports”は人権の一つであると言われ、なるほどと頷きつつ、ならばそれは要求せねば、とせこいことを考える……。しかし、「スポーツで連帯、創造、開発、発表等の喜びを得」、「スポーツをすることで豊かな喜びの内実を拡大できる」という話とともに”Do sports”を薦めてくれる谷口さんの話を、どこまで自分の中に取り込めたかは定かではない。ただ、オリンピックの反対側にある価値観であることはよく理解できた。

(スポーツ不得手大子)

【声明】靖国神社での抗議行動は正当だ! 東京地裁は直ちに2名の勾留を解け! 公判闘争を支援しよう!

2018年12月12日、靖国神社外苑で、2人の香港人の男女が「建造物侵入」の容疑で逮捕された。

男性は、「南京大虐殺を忘れるな 日本の虐殺の責任を追及する」と書かれた横断幕を広げ、日本軍国主義、南京大虐殺、靖国神社A級戦犯合祀に対する批判のアピールを行った。女性は、男性の抗議行動をビデオで撮影していた。抗議を開始してまもなく、靖国神社の神門付近にいた守衛がやめるように言ってきたので、男性が立ち去ろうとしたところ、複数の守衛が2人を取り押さえ、警視庁に引き渡した。

2人はそのまま逮捕・勾留され、さらには12月26日に起訴されてしまった。その身柄は今なお警察署の「代用監獄」に留め置かれている。1月15日の弁護団による保釈申請に対しても裁判所はこれを却下。2人はすでに1ヶ月以上も勾留され続けているのだ【注】。

「人質司法」といわれる日本の刑事司法のありかたは、内外から多くの批判を浴びている。今回2人は、「正当な理由なく靖国神社の敷地内に侵入した」建造物侵入という罪状で起訴された。だが、外苑は誰でも自由に出入りできる場所だ。仮に有罪となったとしても微罪であるのに、今回2人に対して加えられている逮捕、起訴、長期勾留という事態は、まさにアジアの人びとが、靖国神社において公然と抗議行動をおこなったことに対する「見せしめ弾圧」であったと言わざるを得ない。この強硬な姿勢が、安倍政権においてより顕著になっている歴史修正主義、国家主義の強権的姿勢と無関係であるはずがない。

抗議のアピールが行われた12月12日という日付は、1937年12月13日の日本軍による「南京陥落」の前日である。この日を前後しておこった、日本軍による膨大な中国市民の虐殺=「南京大虐殺」の歴史的事実を、日本の右派および右翼政治家は一貫して矮小化し、実質的に否定しようとしてきた。また香港は、アジア・太平洋戦争のさなか、3年8ヶ月にわたって、日本の軍政下に置かれた地である。日本政府は、戦後一貫して侵略戦争被害者への謝罪も補償もしないばかりか、歴史的事実を転倒させ、東アジアの平和を求める動きに逆行し続けてきた。このような日本政府のあり方を、中国やアジアの民衆が強く糾弾するのはまったく当然のことである。男性は、歴史問題に関する自らの意思の表現として、この象徴的な場所で抗議行動を行ったのだ。それが靖国神社に立ち入った「正当な理由」でなくて何であろうか。

また、逮捕された女性は、市民記者として、男性の抗議行動を記録していた。それが、男性と共謀の上「侵入」したとして罪に問われたのである。これは明らかに、報道の自由に対する不当な介入でもあると言わなければならない。

私たちは、この日本社会に暮らすものとして、彼らの行為が提起したことの意味を受け止めながら、剥奪され続けている2人の人権を回復し、彼らを被告人として3月から開始される裁判闘争を、香港の友人たちとともに支えていきたいと考える。

本事件に関する注目と司法権力への監視を。3月公判への傍聴支援を。そして2人の裁判闘争を支えていくためのあらゆる支援とカンパを訴えます。

(2019年1月21日)

【注】2月3日現在、1人は東京拘置所に移監されており、もう1人も近く東拘に移監の見込み。保釈請求却下に対する準抗告も1月30日に却下されている。

12.12靖国抗議見せしめ弾圧を許さない会

〒105-0004 東京都港区新橋2-8-16
       石田ビル5階 救援連絡センター気付
mail: miseshime@protonmail.com
振替口座:現在口座開設準備中
*暫定措置として、「12・12靖国抗議弾圧救援」と指定のうえ、救援連絡センターに送金してくださって大丈夫です。
郵便振替 00100-3-105440 救援連絡センター
★ 法廷期日:3月7日(木)10:00〜
       3月19日(火)10:00〜
 ともに、東京地裁429号法廷

 

【今月のALERT】腐敗した国家を隠す天皇「代替わり」のイベント ひとつひとつに異議の声を叩きつけよう

昨年末から開催されている明仁の退位と徳仁の即位等に関する「式典委員会」が、「退位礼正殿の儀」「剣璽等承継の儀」「即位後朝見の儀」のほか、二月二四日に実施される「天皇在位三十年式典」などについて概要を決定したという。それによると、二月二四日と五月一日には各省庁に「国旗」を掲揚させ、地方公共団体のほか、学校、企業、その他一般に対しても同様に掲揚するよう「協力方を要望」するとしている。もちろんこれは「奉祝」という装いをした強要であり、天皇および天皇制国家に服従し「まつろう」かどうかを、団体や個人にまでつきつけるものとしてある。明仁の即位において実質的に復活した「登極令」は、今回の退位〜即位の経過で、あらためて天皇制の「伝統」の地位とともに、記述されない法的な地位をも確立しようとしているわけだ。

さらに、「在位三十年慶祝行事」なるものが、各省庁や関連する法人にまたがって、すでに数多く開催されまた予定もされている。もちろん、即位関連としては、この秋には「即位礼正殿の儀」にはじまる「国事行為」の儀式・式典が予定されており、詳しく伝えられていないが、主基田と悠紀田をめぐる亀卜など「大嘗祭」に向けた数々の皇室神道における宗教儀礼の準備も開始されているはずだ。

このように、いよいよ天皇制をめぐり、私たちにとっての正念場となる状況を迎えつつある。二月には、いつも私たちは反「紀元節」の「実行委員会」として闘いを提起することから、その一年の流れを組み立ててきた。今年もまた二月一一日には「天皇『代替わり』に反対する 2・11反『紀元節』行動」の集会とデモが呼びかけられている。これへの参加から、この「天皇代替わり」という事態に対抗する大衆的な運動を提起していこうとしている。

しかし、今年は例年とは違って、この実行委による闘いにとどまらない。はじめに触れたように、二月二四日には政府主催による「天皇在位三十年式典」が国立劇場で開催されることになっており、全国の天皇制に反対する人々が連なる「終わりにしよう天皇制!『代替り』に反対するネットワーク」(おわてんねっと)により、「在位三〇年記念式典」に反対する銀座デモが提起されている。

また、植樹祭・海づくり大会・国民体育大会という、いわゆる天皇による「三大行事」に「国民文化祭」が加えられ、新天皇となる予定の徳仁(夫妻)による全国への巡行がはじまり、茨城国体への闘いにも参加の呼びかけが届いている。さらに、「即位・大嘗祭違憲訴訟」も二月二五日から口頭弁論を開始する。これらのいずれもきわめて重要な意味を持つものばかりだ。これらの闘いに向け、心から参加と支援をお願いしたい。

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さて、今年はまた、四月に統一地方選挙が、七月に任期満了となる参議院の選挙も予定されており、その結果は、憲法改悪へとまっすぐにつながるものとしてある。この状況での天皇の代替わりは、まさにそれこそが天皇制の役割でもあるのだが、「ハレ」の意識の奉祝ムードを、政府やその意に忖度を重ねるメディアがかき立てることにより、極右の安倍自公政権をアシストするものとなる可能性が高い。

昨年末からの日韓「レーダー照射」騒ぎは、情報操作を経て、日韓の戦争・戦後責任をめぐる問題を問う声をかき消し、メディアと世論は排外主義に満ちた色へと変わった。街宣右翼のメシの種ともなってきた「北方領土」も、安倍や河野ら政府自身の手により消え失せつつある。かの利権まみれの恥知らずたちが喧伝してきた「アベノミクス」だが、官庁による文書や分析の根拠となる統計が捏造されたものだったことが、厚労省など官僚たちから露呈しているにもかかわらず、その責任も、直接に損失を被った人々への保障もまったく不明で、むしろ隠蔽されつつある。さらに竹田JOC会長らによる東京五輪招致にまつわる贈賄など、数えきれないほどの日本国家の腐敗状況までも、天皇制のイベントはもみ消す力を発揮しそうだ。

しかし、それでもなお、いや、だからこそ私たちは強く異議の声を上げ続けていく。ともに進もう。

(蝙蝠)

【表紙コラム】

歴史とはこれから起こる未知の世界ではなく、すでに過ぎ去った過去の人物であり、人間のいとなみであり、人間がつくりだした事件であり、そういった人間を育てあるいは疎外した都市や農村・漁村であり、そこを支えた産業や経済であり、それを支えた文化や教育であり、それらが依拠する宗教や政治体制であり、それを支えあるいは反抗した人間のいとなみであり、そういった人間の交流や争いであり、その大小すべてが影響しあったり淘汰されたりと、とめどなく果てしない……。

自分の知りうるエリアでさえ、その歴史の全体像はわからない。歴史も未知の世界に等しい。だけど私たちはその歴史の延長に生きているし、影響し合ったどちらかにいて、複雑に絡み合っているどころか、交流したり争ったどちらかにいて、支えたり反抗した者たちのどちらかの延長にいる。それともそのような発想全体が間違っているのかもしれない。だから人は記録を残し、未知の歴史に少しでも触れ得たと思った者は、それを人に伝えようとする。私たちには未知の歴史に近づく手がかりがたくさん残されている。

子どもの頃読んだ他愛のない本たちさえも、おそらくはその類に含まれる。私的あるいは政治的な下心に満ちた歴史も、それに反発する歴史も綴られる。すべての記録が意味を持ち始め、例外と思える義務教育の教科書すら、考える素材となり得る。

だから人は読み、人の話に耳を傾けるのだろう。唯一の未知の過去に近づく手立てとして。支配し支配された、殺し殺された、疎外し疎外されたそれぞれの歴史の上にいる人間たちの、対等な交流を求める者として。でも一番大事なことは、目の前にいる人物を、歴史を作る一人の人間として認識し尊重することなのだけどね。

(橙)

【月刊ニュース】反天皇制運動ALERT 32号(2019年2月 通巻414号)

今月のAlert    天腐敗した国家を隠す天皇「代替わり」のイベント ひとつひとつに異議の声を叩きつけよう(蝙蝠)

反天ジャーナル ◉ ─はじき豆、宗像充、桃色鰐

状況批評 世界地図の縮尺を変えつつ「代替わり」を考える(田浪亜央江)

ネットワーク なぜ祝賀なのか? 天皇代替わりを問う九州山口連絡会(倉掛直樹)

声明 靖国神社での抗議行動は正当だ! 東京地裁は直ちに2名の勾留を解け! 公判闘争を支援しよう!(12・12靖国抗議見せしめ弾圧を許さない会)

太田昌国のみたび夢は夜ひらく〈104〉歌会始と天皇が詠む歌(太田昌国)

マスコミじかけの天皇制〈31〉〈天皇教〉と「紀元節」(建国記念の日)─〈壊憲天皇明仁〉その29(天野恵一)

野次馬日誌

集会の真相 ◉ オリンピック災害おことわリ連絡会・二回の学習会/象徴天皇制の戦争責任・戦後責任

学習会報告 ◉ 橋川文三『ナショナリズム─その神話と論理』(二〇一五年、ちくま学芸文庫)

反天日誌

集会情報

 

前号の目次はこちら

*2019年2月5日発行/B5判16ページ/一部250円
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http://www.mosakusha.com/voice_of_the_staff/