【集会案内】天皇制に終止符を!「代替わり」で考える「天皇制」の戦争責任

▼日時:2019年 8月31日(土)13時30分 開場 14時開始
▼場所:日本キリスト教団 紅葉坂教会    
 JR京浜東北・根岸線『桜木町』駅 北改札西口より 徒歩5分
 横浜市営地下鉄 『桜木町』駅 南1口より 徒歩7分 
▼資料代:500円

●講演 渡辺美奈さん
 アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(WAM)館長

 ★ WAMとは、
2005年8月、 日本で唯一、日本軍性奴隷(日本軍「慰安婦」制度)の被害と加害を記憶する資料館として開館。「慰安婦」裁判や女性国際戦犯法廷を閲覧できるなど、「慰安婦」関係の書籍・雑誌・論文・軍関係資料をはじめ、支援団体の活動記録、ミニコミ誌、機関誌、市民運動の記録も含めて日本軍「慰安婦」アーカイブズにするプロジェクトを進めている。

 

◆戦後74年、天皇制は終わることなく、裕仁から明仁へ、そして5月1日に即位した「徳仁」によって受け継がれました。平和への思いを込めたという慰霊の旅を続けた「明仁天皇」は、象徴天皇制を安定させ、さらに新天皇を誕生させました。

❤しかし、天皇の戦争責任を問うことなく行われた祈りと追悼は平和をもたらしたのではなく、戦争責任を覆い隠し、あたかも平和な社会であるかのようにつくりあげた戦後だったのではないでしょうか。

♠映画「沈黙」で、はっきり語られていましたが、天皇の責任を問い続けたのは、日本軍性奴隷制の被害者のみなさんです。2000年12月の「女性国際戦犯法廷」は日本軍性奴隷制度の責任者として天皇裕仁と軍高官9名に有罪判決を下しています。

☘日本の戦後社会が向き合わなかった戦争責任と植民地支配責任を問うてきたという、アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」の渡辺さんにお話を伺って、差別の象徴であり、平和・平等・民主主義に反する天皇制に終止符を打つための思考をさらに広げていきたいと思います。

▼共催

・日本基督教団神奈川教区社会委員会ヤスクニ・天皇制問題小委員会
・「日の丸・君が代」の法制化と強制に反対する神奈川の会
・終わりにしょう天皇制!「代替わり」反対ネットワーク
・信仰とセクシュアリティを考えるキリスト者の会(ECQA)
・女性と天皇制研究会

【集会宣言】天皇に平和を語る資格なし 国家による「慰霊・追悼」反対! 8.15集会宣言

 私たちは、本日、徳仁が天皇として初めて「全国戦没者追悼式典」に出席し、「おことば」を述べる儀式に反対するために集会を行い、式典会場・靖国神社にほど近い九段方面に向けてデモに出発しようとしている。

 5月1日の「即位後朝見の儀」において徳仁は、「ここに、皇位を継承するに当たり、(30年以上の長きにわたり、世界の平和と国民の幸せを願われてきた)上皇陛下のこれまでの歩みに深く思いを致し……国民の幸せと国の一層の発展、そして世界の平和を切に希望いたします」と述べた。ここで徳仁が明仁から引き継ぐと明言した「平和」とは一体何であるのかが問われなければならない。

 今年の2月24日、明仁は、在位30年記念式典の「おことば」において次のように述べていた。

「平成の30年間、日本は国民の平和を希求する強い意志に支えられ、近現代において初めて戦争を経験せぬ時代を持ちましたが、それはまた、決して平坦な時代ではなく、多くの予想せぬ困難に直面した時代でもありました。……(30年前の)全国各地より寄せられた『私たちも皇室と共に平和な日本をつくっていく』という静かな中にも決意に満ちた言葉を、私どもは今も大切に心にとどめています」。

 しかし、明仁の30年は、自衛隊の海外派兵の30年であり、安保法制等による海外での武力行使を準備する30年にほかならなかった。明らかに天皇制にとっての「平和」とは、まずは国内において戦闘行為がないことだけを意味し、皇室と国民が一体となって享受する「日本」なる共同性における「平和」でしかない。

 しかし私たちは、そのようなものとしての「平和」が、世界中で侵略と軍事恫喝を続けている米国との軍事同盟によって支えられたものであり、構造的に戦争を内包してきた体制の中にいまもあり続け、この社会の内外において、侵略戦争・植民地支配責任を問い続ける少数者や、戦争の被害当事者を抑圧することによって成り立ってきたことを知っている。この間の「最悪」と言われる日韓関係を生み出しているのも、安倍政権による歴史修正主義や、社会的に広がる差別排外主義の風潮によるものであると同時に、植民地支配合法論を前提とし、被害当事者の声(請求権)を認めようとしない、戦後日本の一貫した立場──現在における植民地主義に起因することは明らかである。

 本日の「全国戦没者追悼式」は、戦争の死者を「戦後日本の平和の礎」となった尊い犠牲として「天皇と国民」とによって顕彰する儀式である。それは、加害者である国家の責任を無化し、被害者の死を国のための死として賛美する。しかし、加害者が平和を語り、「慰霊・追悼」する資格などない。なすべきことは、自らの加害責任を認め、内外の被害者への謝罪と補償を行うことでしかありえない。

 国家による「慰霊・追悼」反対! 天皇に平和を語る資格なし! 終わりにしよう天皇制!

 

   2019年8月15日

天皇に平和を語る資格なし 国家による「慰霊・追悼」反対! 8・15集会参加者

【学習会報告】島薗進『神聖天皇のゆくえ─近代日本社会の基軸』(筑摩書房、二〇一九年)

 島薗は、岩波新書「国家神道と日本人」、春秋社「明治大帝の誕生」と本書を、自身の近代天皇制に関する三部作と位置づける。ほか、片山との対談も含め、いずれも近代天皇制の成立をめぐる通史として読む限りにおいては叙述として共通しており、読みやすい見取り図にはなっている。

 しかし島薗は、国学や「国体論」の中で醸成され「完成」し、かつて支配イデオロギーとして猛威をふるった「神聖天皇」の思想をひも解いてみせるが、それが「象徴天皇」としてなおある現在の問題点については、あまり分析を加えようとしない。一九四五年以降に、戦後改革により国家神道が否定され「現人神」も否定されながら、皇室神道や天皇の祭祀が明には否定されず残存させられたことにより、むしろそれらが天皇制の根幹となったことについても、問題の所在を示しながら論述を避ける。これは、「天皇は権威であって権力ではない」として天皇制の歴史的責任を免罪させる戦後歴史学のドグマが、島薗に貫かれているからだろう。しかし、それこそが政治家や官僚などから不可触の権力を確保しようとする「神聖天皇」の本質ではないのか。

 天皇制が「仁政」と「慈恵」の「福祉国家」の基軸であるかのように天皇や皇族がふるまい、それを受容する社会やメディアの状況など、指摘されておりさらに踏み込まねばならない問題は多い。それにもかかわらず島薗は、天皇や皇族の「公私二元論」の構造に触れず、明仁や秋篠文仁の発言には肯定的だ。議論では、政治史分析の枠組みを欠いていることへの批判が多く出た。
 次回は八月二〇日、伊藤智永『「平成の天皇」論』(講談社新書)を読む。

(蝙蝠)

【集会報告】7・ 20 ─7・ 27 開催一年前 !? 反五輪国際イベント

 二〇二〇年東京オリンピック開催から一年前の二四日をはさむ八日間、7・20─7・27を文字通り連続行動として取り組まれた反五輪国際イベント。反天連も総出で関わってきたおことわリンクも主催団体の一つだ。というわけで、あまりしっかり関われたわけではないが簡単に報告。

 おことわリンクとその構成団体でもある反五輪の会や大学関係者が集まり、それぞれできる部分を担いながら、それでも大変な準備を重ねた結果の八日間だった。二〇日:新国立競技場と湾岸フィールドワーク、二一日:『祝賀資本主義』等の著者ジュールズ・ボイコフを迎えて「祝賀資本主義とオリンピック」、二二日:福島フィールドワーク、同日夜:平昌・東京・パリ・L A ナイトピクニック、二三日:記者会見とメディアワークショップ、二四日:オリンピック大炎上新宿デモ、二五日:研究者・ジャーナリスト研究会、二六日:討論集会、二七日:パネルディスカッション、とハードな日々。私は二二日と二三日を除いて、参加。疲れたけど面白かった。内容報告は割愛。

 反天連界隈が力を注いだのは二四日のデモ。参加者二三〇名でアルタ前もデモも賑やかな行動となった。警察も慣れない外国人対応にどうして良いかわからないという風。面白かったが、来年はそうもいかないよね。連日ピョンチャン、パリ、リオ、ロス、ロンドン、等々からの海外参加者も含め、たくさんの参加者で賑わった。

(大子)

【集会報告】南京大虐殺・靖国に抗議した香港人弾圧を許すな!

 七月一七日、12・12靖国神社抗議見せしめ弾圧を許さない会による、「南京大虐殺・靖国に抗議した香港人弾圧を許すな!7・17集会」が開かれた(文京区民センター、五〇人)。この日行われた第六回公判で弁護側証人尋問が行われ、裁判が大きな山場を迎えたことを受けたものだ。昨年一二月、南京大虐殺・靖国神社
に抗議する行動を行ない、あるいはそれを撮影して逮捕・起訴された郭紹傑(グオ・シウギ)さんと嚴敏華(イン・マンワ)さんは、度重なる保釈申請も却下され、不当な勾留がすでに八ヶ月を超えている。集会は、都留文科大名誉教授の笠原十九司さんの講演から始まった。

 笠原さんは、学界において南京大虐殺の事実と死者の数などもほぼ確定してきているにもかかわらず、安倍晋三が中心になって取り組んできた教科書攻撃の「成果」として、中学校の歴史教科書から「日本軍慰安婦」の記述が消え、「南京大虐殺」の死者についても具体的な数値が消されていることなど、歴史修正主義の安倍政権にとって、南京と靖国が重要な意味を持ってきたことを明らかにした。二人の香港人に対する常軌を逸した攻撃は、その政治姿勢の反映でもあるはずだ。続いて、当日の証人尋問に立った田中宏さんと和仁廉夫さんからの発言、長谷川弁護士による法廷報告もなされた。

 今後の裁判の見通しとしては、次回の第七回公判(八月二八日、一三時半〜)において論告求刑、最終弁論。一〇月一〇日午後、判決公判となる予定。救援会では秋にも集会を予定している。引き続き注目を!(http://miseshime.zhizhi.net)     

(北野誉)

【集会報告】徹底検証!ナルヒト天皇制

 アキヒトの生前退位発言から続いた皇室大フィーバー報道も、退位、即位儀式を経て、十一月に行われる大嘗祭までしばし休息か、メディアの加熱報道は現在吉本興業の話題で持ち切りだ。

 ナルヒトが新天皇になった直後は、皇室祭祀や儀式に続き、トランプ米大統領との会談のような「外交」や晩餐会の模様を、新皇后マサコも同時に持ち上げる新天皇夫婦賛美報道が続いた。

 さらに国会や地方議会では「即位を祝う賀詞」があげられるなど秋にむけ翼賛体制が進められている。

 新たな天皇像とはどのようなものなのか。アチラ側が作ろうとしているこれからの天皇制のあり方を研究分析し、これを打ち破っていく運動の体制をどのように作っていくのかを共に模索するためにおわてんねっと主催で七月一五日に、文京区民センターで表題の集会を行った。

 最初に井上森によるナルヒトの半生を振り返るスライドトーク。膨大な映像の量は、ミッチーブームから始まる皇室情報をTV媒体を通して「国民」にいかに浸透させていったかを物語っている。

 それを受けるような形で、天野恵一は「『代替わり』奉祝ファシズム報道の分析」を行い、続いて、桜井大子は、「皇位継承問題」に焦点をあて批判した。

 最後に小倉利丸さんはナルヒトと水(グローバリズムの観点から)をテーマに「象徴天皇の政治的な関与」の傾斜、政治利用の可能性を示唆された。

 今回、「ナルヒト時代の日米同盟」も重要な視点として柱を立てていたが、発題者の都合で次回のお楽しみとなった。参加者一三〇人。        

(桃色鰐)

【今月のAlert 】排外主義やヘイトが席捲する状況に抗し て今こそ私たちの闘いを

 資本主義の「共通価値」として語られていたはずの「公正」や「平等」が、さらに「自由」までもが大幅に毀損されていっている。トランプの「アメリカ第一」は、「自民族優先」さらに世界的な排外主義、他民族排斥やヘイトの潮流として、はっきり時代を画している。こうした状況下で危ぶまれながらも、前回の自民党大勝が多少は是正され、参議院においては改憲与党が2/3を超える構成ではなくなった。しかしもちろんその内実において危
険水域は続いており、あらゆる条文や理由を持ち出して改憲に踏み出そうという政治勢力はあまり減少していない。

 むしろ、日本国家や社会システムの全体的な衰退の原因を、極右のいう「特定東アジア」や、国内の「反日勢力」の「存在」に仮構して、権威主義的体制を造り上げようとする動向はいよいよ悪性のものになっている。中国との関係、北朝鮮との関係においては、アメリカへの依存を強いられ、ロシアに対しては「領土交渉」で成果を上げると広言しておきながら、「安倍外交」はほぼその全てを喪失する真逆の「大成果」を上げた。だからこそ、安倍らの日本政府にとっては、韓国への強硬的なふるまいだけが、この愚かな政府への「求心力」を生みだす咒法となっている。

 韓国を輸出「優遇」の「ホワイト国」から外すという措置は、日本国内メディアやネット世論を除く世界中の誰の目から見ても、戦時性奴隷とされた「慰安婦」問題や強制による「徴用工」問題についての報復措置である。これはトランプ流の国内経済第一主義ですらなく、「反韓国」世論を煽ることで、排外主義をテコとして国内の諸問題をあるいは打ち消しあるいは歪める政治操作に他ならない。

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 八月一日から、愛知県で「あいちトリエンナーレ2019」が開催されている。今回は津田大介を芸術監督として、その選考においても男女平等にするなどの注目される試みがあり、多くの作品を集めている。その中のひとつのプログラムとして、「表現の不自由展・その後」という展示がなされている。(https://censorship.social)

 このプログラムは、二〇一五年に練馬で開催され、私たちも協力した「表現の不自由展」の発展形とも言うべきもので、ニコンサロンでの写真展を圧殺された安世鴻さんの写真、富山県立近代美術館で作品や図録を破棄された大浦信行さんの絵画、そしてキム・ソギョン/キム・ウンソンさんによる「平和の少女像」など、一六組の作家による表現が一堂に会している。そして、とりわけ日本の戦争・戦後史を問題とする作品に対し、歴史修正主義者やヘイト活動家、「ネトウヨ」からの激しい攻撃が、たったいまも続いている。なかでも「少女像」に対しては、SNSなどで煽動された破壊の危険も含め、河村市長や菅官房長官など極右の政治家たちによる弾圧が準備され、展示は予断を許さない事態にある。「表現の不自由」とは、日本の戦争責任、歴史問題、天皇制の問題であり、国家や右翼により遂行される脅迫と暴力、まさに国家「テロ」から自由をかちとる闘いの問題なのだ。
(注:八月三日夕刻、「表現の不自由展」の撤退が報道された)。

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 これら展示の防衛や対策にあたる現地からの報告をじりじりした思いで聞きながら、私たちは、今年は「おわてんねっと」として、八月一五日の「国家による『慰霊・追悼』反対」行動の準備を進めている。またその直前には「平和の灯を!ヤスクニの闇へ キャンドル行動」も行なわれる。昨年の靖国宮司による「天皇批判」に続き、「カネ」や「女性差別」の問題も露呈するなど、靖国神社など宗教右翼の破滅的な内実も明らかとなり、天皇制や天皇主義者たちはますます揺らいでいる。だからこそ右翼たちの攻撃もいや増すと想定されるし、徳仁による「全国戦没者追悼式」での初めての発言には大きな注目が集まっている。それは、秋の即位式や大嘗祭、来年に予定されるオリ・パラなどを通じ、「代替わり」直後の天皇制を支えるための重要なイベントとしての役割を持つ。合言葉は、「天皇に 平和を語る 資格なし」である。多くの人びととともにこの闘いをかちとっていきたい。

(蝙蝠)

【月刊ニュース】反天皇制運動ALERT 38号(2019年8月 通巻420号)

今月のAlert ◉ 排外主義やヘイトが席捲する状況に抗して今こそ私たちの闘いを(蝙蝠)

反天ジャーナル ◉ ─きょうごくのりこ、中村ななこ、俺たちに明日はない!

状況批評 ◉ 皇位継承問題と「女性・女系天皇」論議の現在(桜井大子)

ネットワーク ◉ 茨城国体反対デモへの招待(加藤匡通)

太田昌国のみたび夢は夜ひらく〈110〉 ◉ 「政治」と「選挙」をめぐって(太田昌国)

マスコミじかけの天皇制〈36〉◉ 「ナルヒト・マサコ」賛美と「アキシノ・キコ」ブーイングの手のひら返し─〈壊憲天皇制・象徴天皇教国家〉批判(3)(天野恵一)

野次馬日誌

集会の真相◉議会を浸蝕する差別主義・レイシズムを許すな!7・14集会/徹底検証!ナルヒト天皇制南京大虐殺・靖国に抗議した香港人弾圧を許すな!7・20─7・27開催一年前!?反五輪国際イベント

反天日誌

学習会報告◉島薗進『神聖天皇のゆくえ─近代日本社会の基軸』(筑摩書房、二〇一九年)

集会情報

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*2019年8月6日発行/B5判12ページ/一部250円
模索舎(東京・新宿)でも購入できます。
http://www.mosakusha.com/voice_of_the_staff/