【集会報告】4・19、4・28─29反天皇制・反安保行動

 例年どおり反天連も呼びかけ団体に加わり、〈今こそ問う「安保・沖縄・天皇」4・28─29連続行動実行委員会〉を立ち上げた。実行委員会では、四月一九日に予定されていた「立皇嗣の礼」に抗するシンポジウムも準備し、秋篠宮論と皇位継承論を巡って議論を交わす予定だったが、三月に入りコロナ騒ぎで会場は使えなくなり、四月に入ると「立皇嗣の礼」延期説も浮上しシンポは中止。実行委有志による街頭での抗議行動に切替えた。当日五日前に「立皇嗣の礼」の延期が閣議決定されたが、私たちは予定どおり集まり、「延期ではなく中止しろ!」を訴えることとした。場所は東京駅中央口(丸の内側)前の行幸通り。広場のように広い歩道だ。

 ここは、昨年一一月、大嘗祭当日の抗議行動を行った皇居から1キロ圏内の場所。人通りは少ないがそれでも通行人はいたし、立ち止まって私たちの行動を見物する人たちもいた。こちらは三〇人ほどで警察はどっちゃり。かまぼこ車まで数台。どういうこと?

 たくさんの参加者がマイクを持ってくれ、充実した一時間のトークリレーとなった。その後、全員で横断幕やプラカを掲げ、だだっ広い歩行者道を皇居に向かって二〇〇メートルほど歩き、皇居のこんもりとした森を見ながら、実行委声明を読み上げ、シュプレヒコールで仕上げた。風を受けながらの気持ちのいい行動だった。私たちの声は皇居に届いたか? 

 二八日の沖縄デー集会は会場が使えず中止。二九日は反「昭和の日」デモ。集合場所に予定していた千駄ヶ谷区民会館も使用できず、会館前に集まった。八五人の参加者とともに原宿駅前を通り、渋谷の街を歩いた。

 少ないとはいえ原宿・渋谷を歩く人たちはいた。私たちは、なぜ新型コロナ感染拡大に怯える街を、わざわざ「昭和の日」に反対してデモをやるのかを訴えた。ここでも恐ろしく警察はわんさか出ていたし、かまぼこ車もあちこちに列をなしていた。どうかしている。引きこもっている間にとんでもない社会になってしまうのではないか、という気分は大きくなるのだった。感染も怖いがこっちも超怖い。何とか運動の継続を考えねば、だな。

 (大子)

【今月のAlert 】コロナ禍状況のなかで反天皇制の活動を確保しつづけよう

 昨年の徳仁即位からまる一年、昨秋の即位礼・大嘗祭からも半年が経過した。予定されていた即位関連の儀式からすると、四月一九日の立皇嗣の礼と饗宴、皇祖とされる神社への秋篠による「奉告」などを経て、一連のスケジュールは終えていたはずだ。しかし、新型肺炎を典型的症状とするウイルスCovid-19のパンデミックにより、立皇嗣の礼はついに時期を明記しないままの延期となり、当分は宙吊りとなっている。

 昨年、元号の制定のおりに、日本文学研究者の品田悦一氏が、この「令和」は、万葉集で大伴旅人が王羲之の「蘭亭集序」を参照して撰んだ「梅花歌」からとったとされているが、これに隠された大伴旅人の意図は、じつは、皇位継承と光明立后にまつわる争乱であり「冤罪」とされている「長屋王の変」を想起させるためのものだと読み解いてみせ、古典理解の奥深さを知らされたものだ。偶然とはいえ、今後は男系女系はじめさまざまな展開が想定される天皇制の、ひとつの要となるはずの秋篠の立皇嗣礼が難航していることを思うと、微笑を催さずにいられない。

 さて、全国植樹祭は来年に延期、春の園遊会は中止となった。皇族の出席予定の行事はいずれも中止や延期、年内に予定されていた外国訪問についても困難な状況だ。五月二日現在で、日本からの渡航者や日本人に対して入国制限措置を取っている国や地域は一八四か国・地域で、さらに入国後に行動制限措置がなされるのは、そのうち六四か国・地域である。政府や外交などの関係者に特例がありえないわけではないだろうが、その地位に「神聖性」があろうとなかろうと、いまさら「神の子」というわけにもいかない天皇や皇族たちとて、これは否定できまい。五月一日には新規の「天皇メッセージ」があるかもしれないとの観測もなされていたが、これも発することはできなかった。

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 現在進行形の感染性疫病の動静は、なおきわめて深刻だ。それにもかかわらず、病原体が蔓延している事実は明らかなのに、「専門家」からのメッセージは意図的だとしか思えないほどに不明瞭で、統計数値の発表も、感染状況、発病の状況、地域などいくつもの要素がいまだに截然としていない。本来はこれらに基づいているはずの公衆衛生にかかわる機関からの「対策」は、医療現場をバックアップするための制度的経済的保障を提示するものではなく、むしろ、現場の主体性を縛り、情報の操作と恣意的な統制を強く疑わせるものとなっている。これに加え、政治状況がさらに混乱をきたしているため解決のめどは立たず、「瀬戸際」や「重要な時期」と冠づけられた二週間と同様に、「緊急事態」の一か月もまた、今後、どれほど延長されるかが全く不明だ。

 さらに、事態に乗じて政治家や極右活動家がヘイトをふりまき、不安を駆り立て、「自粛警察」と揶揄されるほどの「相互監視」と「相互摘発」状況をつくりだしている。社会的インフラを支えるエッセンシャルワークに対して、口先だけで経済的支援などの実質のない「感謝」発言が飛び交うその片方で、病菌の蔓延と職業差別や民族差別、性的差別が結び付けられている。

 私たちは、こうした状況に、今後もはっきりとNO!の声をあげていかなければならないと考えている。感染症が社会や個人にもたらす断絶の重さと、これの防止の重要さを前提としながら、そのためには、基本的人権こそが重要な観点であり判断基準であることを、あくまでも強調しなければならないと考えている。

 そうした活動に対しても、「不要不急な活動ではないか」という声がありえないわけではないことは、もちろん意識させられている。しかし、感染したひとが、感染したことをもって、事後的に、あたかも政府に従わないならずものである、あったかのごとき、社会的裁断を下される社会では、「病」は隠蔽されざるを得ない。だからこそ「三密」ならぬ権力の密議や密約をも問題とし、惨禍や簒奪を阻止しなければならないのだ。

 私たちの周囲では、会議や集会の方法を含めて、明らかにこれまでと違う活動形態を目指す模索も開始されている。こうした方向をエンパワーする試みに、反天皇制運動の側からも加わっていきたいと思う。

(蝙蝠)

【月刊ニュース】反天皇制運動ALERT 47号(2020年5月 通巻429号)

 

反天ジャーナル ◉ (なかもりけいこ、はじき豆、北)

状況批評 ◉ 〈グリーンウォッシング〉としてのオリンピック・パラリンピックと天皇制─コロナウィルス状況から見えてきたもの(鵜飼哲)

書評 ◉ 私的読解報告 徐翠珍著『〈華僑二世徐翠珍在日 その抵抗の軌跡から見える日本の姿』(大友深雪)

太田昌国のみたび夢は夜ひらく〈119〉◉ コロナ禍を通して見る自国中心主義と国際主義(太田昌国)

マスコミじかけの天皇制〈46〉〈壊憲天皇制・象徴天皇教国家〉批判 その11◉ 「「原子力非常事態宣言」・「緊急事態宣言」下の「立皇嗣の礼」延期(天野恵一)

野次馬日誌

集会の真相◉3・28─29福島行動/「4・19、4・28─29反天皇制・反安保行動/コロナに乗じたヘイトをやめろ! 4・19緊急アクション

反天日誌

集会情報

 

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*2020年5月5日発行/B5判12ページ/一部250円
*模索舎(東京・新宿)でも購入できます。
http://www.mosakusha.com/voice_of_the_staff/