【集会案内】国家による「慰霊・追悼」を許すな! 8.15 反「靖国」行動

■今年は敗戦75 年。天皇制国家による侵略戦争・植民地支配に対する反省・被害者への誠実な謝罪と補償はいまだになされていない。それどころか、「慰安婦」「徴用工」問題に対する安倍政権の居直り・逆ギレは、巷に排外主義・レイシズムを溢れさせている。

■戦死者を「英霊」と顕彰する靖国神社も「今日の繁栄の礎」ともちあげる政府主催の戦没者追悼式も、歴史の事実に向き合わず、事実を隠蔽・糊塗することによって、次なる戦争に向けて「国民」を動員する役割を果たしているに過ぎない。

■「災害被害者に心を寄せる」という天皇パフォーマンスも、事実(政策の欠陥や問題点)から眼をそらさせ、天皇制国家という幻想に「国民」を統合するための演出にすぎない。

■コロナ危機下でも発揮されるであろう天皇のこの統合機能を視野におき、8.15 の国家による慰霊・追悼の欺瞞を撃つ。8.15 反「靖国」行動に是非ご参加を!

 

8/1[前段集会]コロナ危機と天皇制

お話:北村小夜 さん「コロナ危機と慈愛・慈恵天皇制」
   医療現場からの報告:片岡万里子さん(医療労働運動研究会)

[日時] 8 月1日(土) 16:00 開場/ 16:30 開始
[ 場] 日本キリスト教会館 4F 会議室A・B(地下鉄早稲田駅徒歩5分) 

 

8/15[デモ]反「靖国」デモ

[日時] 8月15 日(土) 15:00 集合/ 16:00 デモ出発
[集合] 在日本韓国YMCA 3 階(JR 水道橋駅徒歩9分、地下鉄神保町駅徒歩7分) 

 

主催 ● 国家による「慰霊・追悼」を許すな!8.15 反「靖国」行動

【呼びかけ団体】
アジア連帯講座/キリスト教事業所連帯合同労働組合/研究所テオリア/市民の意見30 の会・東京/スペース21/戦時下の現在を考える講座/立川自衛隊監視テント村/反安保実行委員会/反天皇制運動連絡会/ピープルズ・プラン研究所/「日の丸・君が代」強制反対の意思表示の会/「日の丸・君が代」の法制化と強制に反対する神奈川の会/靖国・天皇制問題情報センター/連帯社/労働運動活動評議会

→ 8.15集会宣言文

→ 当日の報告はこちら

→ こちらに写真があります

【出版物案内】季刊「ピープルズ・プラン88号」

*おわてんねっとのメンバーも多数参加した特集です。

  ◎定価1300円+税
   A5版160ページ
   発行・ピープルズ・プラン研究所
   発売・現代企画室

   >>>★お申し込み方法はこちら

【いまを読み解く】
・緊急事態宣言とこれからの日本の民主主義について考えたこと(海渡雄一)
・休校(長澤淑夫)
・二つの「緊急事態宣言」下の2020年の原発諸課題は何か(山崎久隆)

★特集:原子力・新型コロナ〈非常事態〉下の天皇「代替り」

・特集にあたって(天野恵一)
・ 象徴天皇制国家という〈無責任の体系〉の完成(天野恵一)
・ 明仁天皇の「業績」と新天皇のこれから(伊藤晃)
・ 「国体」の亡霊を追い払うために(松葉祥一)
・ 即位の礼・大嘗祭違憲差止請求訴訟の展開と現在(酒田芳人) 
  資料:訴状
・ 「女性国際戦犯法廷」から20周年の展示に向けて(渡辺美奈)
・ 明仁―徳仁「天皇代替わり」との闘争経験について――「おわてんねっと」の取り組みを中心に(北野誉)
・ [座談会]原子力非常事態宣言(3.11) および緊急事態宣言(2020.4.7) 下の天皇「代替り」(井上森・桜井大子・宮崎俊郎・天野恵一=司会)
・ 只今闘病中――読書ノート (40) 「平成代替り」状況下で (7)――「建国神話」と史実との関係をめぐって(天野恵一)

【特集外】
・ 安倍改憲をつぶす、その先に何を展望し、実現するか(最終回)(武藤一羊)
・ 読書逍遥(1)論集『21世紀のマルクス――マルクス研究の到達点』を読む(花崎皋平)

【地域から】
 広島(2)コロナウイルス禍のなかの個人的備忘録(田浪亜央江)
 長崎(2)コロナ下の長崎と三菱(山口響)
 札幌(2)あるアイヌエカシの闘いから(小泉雅弘)

【書 評】
・山口輝臣編『戦後史のなかの「国家神道」(長谷川亮一)
・徐翠珍著『華僑二世徐翠珍的在日――その抵抗の軌跡から見える日本の姿』(池田祥子)

 

【学習会報告】山本太郎『感染症と文明──共生への道』(岩波新書・二〇一一年)

 『ミミック』と言う怪物映画がある。虫を媒介とした感染症の猛威に人類はその虫を捕食する虫を開発、虫ごと感染症の根絶に成功するが捕食した虫が怪物化して人類を襲う話だ。こう書けば誰もが、虫ごと感染症の根絶なんて、やっぱり怪物映画は乱暴で出鱈目だと思う。では感染症だけ根絶ならいいのか? 現に天然痘は根絶されている。だが著者は、天然痘が消えたことによってどんな影響が表れるかまだ分からないと言う。天然痘の存在が他の、より有害な感染症への防波堤だったかもしれないと。

 本書は文明によって感染症が人類に定着・拡大していく様を一万二千年前から現代まで、フィジーからヨーロッパ、アフリカを経てグリーンランドまでを舞台に多くの具体例で描く。病気を「ヒトの環境適応の尺度」と考えればヒトは農耕・定住に未だに適応していないとも考えられる。感染症はウイルスや細菌がヒトに適応する過程であり、幾つかの段階を経て最終的にはヒトから消えていく。身体から消えなくとも、潜伏期間が百年単位ともなれば感染しているだけで発症はない。それでいいのではないかと著者は言うのだ。私たちの国の首相のようにウイルスと「戦争」したがる者と対極の発想がここにある。

 他にも開発と感染症の関りや、植民地と医学の関りなど考えさせられる。西洋医学が近代科学足りえたのは熱帯感染症と出会ったからだとは。

 感想・議論はこの間の「感染症」をめぐる様々な事柄について行われた。そうした議論の前提として今回は脱線してこの本を読んでもいる。そろそろこの間の様々な事柄を集会なりいろんなやり方で検討すべきではないかと思っている。

 次回は、御厨貴「天皇退位 何が論じられたのか——おことばから大嘗祭まで」(中公選書)を7月21日に読む。ご参加を。

(加藤匡通)

【集会報告】6・24見せしめ弾圧を許すな 高裁結審

 一昨年一二月一二日、靖国神社外苑で「南京大虐殺を忘れるな」という横断幕を掲げ、日本の侵略戦争と軍国主義に抗議した香港のグオ・シウギさんと、その行動を撮影し配信していたフリーランスジャーナリストのイム・マンワさんはその場で警備員の手で警察に引き渡された。二人は逮捕・起訴・ 一〇ヶ月に及ぶ拘禁の末、昨年一〇月、東京地栽でグオさん八ヶ月、イムさん六ヶ月、執行猶予三年という不当な有罪判決を言い渡された。たった一分足らずの抗議行動に対する過酷すぎる仕打ちだった。二人は直ぐに控訴し、先日六月二四日、控訴審公判の第一回が開催された。

 二人を支援する、「見せしめ弾圧を許さない会」では、この控訴審に向けて二人の無罪を訴える署名を呼びかけた。コロナ感染拡大で署名をお願いする機会が皆無の約一ヶ月間、郵送とウェブだけが頼りの署名は、五八一筆。泣きたくなるような筆数だが、ウェブではたくさんの意見をいただいた。心強い思いで、公判二日前の二二日、裁判所前でのアピール行動と高裁第五部刑事部に署名を提出した。

 しかし、なんと第一回公判で結審。次回判決を言い渡される。弁護団と許さない会は、判決まで諦めずに無罪を訴えていく。彼らは、侵略戦争も南京大虐殺もなかったという恐ろしく歪んだ日本社会の歴史認識に批判を突きつけた。その二人を見せしめ的に弾圧する国家権力とそれに追随する司法を容認するわけにはいかない。彼らを有罪にすることで、この社会の歴史認識はまた一歩後退する。ともに声をあげていただきたい。

(大子)

【今月のAlert 】コロナ状況が照らし出した差別と暴力に私たちの側からの歴史の再審を!

 新型コロナウイルス感染症の世界的な蔓延は、それまでにも耐えきれないような腐敗状況にあった政治体制に、思いがけない方向、しかもさまざまな方向や視点からスポットライトを浴びせて、これによる社会の変化を誰の目にも明らかにさせつつある。

 まだ記憶に新しい原発事故のときにも問われた、科学や技術、技術者と、経済・社会政策の問題は、疫学や医療と医療関係者との関係の中で、さらに身近なものとして浮かび上がっている。生活者のそれぞれが、強い不安と怒りを内面化させつつ「日常」に閉じ込められている。その一方で、日銀の株や国債オペに典型的なように経済はギャンブルや投機的な性格をより強め、それを補うかのごとく、「新自由主義」が「確かな」縁故や利権に基づいた「縁故資本主義」として隠微に広がっていることも、露わになってきた。自民公明と維新による議会「政治」は、官僚と特定企業グループとの結託や、権力を掌握した「政治家」によるさまざまなレベルでの買収工作と深く結びついていることが、あまりにも数多くてあげつらうことも疲れてためらうほどにはっきり示されてきている。

 国家や社会の大きな変動のうねりをこのかん感じさせる事態として、五月二五日、アフリカ系アメリカ人のG・フロイドがアメリカのミネアポリスで警察官に首を抑えつけ締められて殺されたことに端を発した、全米から欧州など世界にも波及している抗議行動の広がりがある。

 アメリカで繰り返されてきた構造的な人種差別に基づく暴力は、とりわけ「白人」警察官による問答無用の拘束・逮捕や暴行としてこれまでにもきわめて頻繁に繰り返されてきた。公民権運動の指導者や活動家に対するテロは、公民権が一九六四年に成立したのちも、なお警察官による不当な検問や暴力として常態化しているという。「カラード」の居住区が歴然としたかたちで続き、貧困と犯罪が社会的なスティグマとして住人たちに刻みつけられてきた。「微罪」でも逮捕され、司法の場すらないまま簡単に有罪となって刑務所での服役を強いられ、危険な「前科者」「犯罪者」その「予備群」として社会的に裁断され続ける存在とされた。アメリカでは、最近の統計でもアフリカ系アメリカ人の刑務所への収監は「白人」の五倍以上で、長期刑の受刑者を対象とする矯正施設は八〇年代から州によっては民営化されて巨大な利益を生むビジネスとなっている。今回の抗議行動においてクローズアップされた「#BlackLivesMatter」、BLM運動は二〇一三年〜一四年に起きた警察官による「黒人」の射殺からはじまったが、そのことは、これらの事態がオバマ政権下でも緩和されず、トランプ政権下で拡大したということを明らかにしている。

 BLM運動は、いま、アメリカの奴隷制の歴史や、さらに、ヨーロッパによるアフリカの収奪と植民地化に対する厳しい再審を求める声や行動としても高まっている。大日本帝国の成立史は、こうした欧米の植民地政策史に同時代的に連なっており、日本のアジアにおける侵略と植民地化、戦争の歴史は、いまも謝罪されず償われることのないままにある。その過程において、天皇制、天皇や皇族そしてその権力を行使してきた者たちが果たした役割は、あらゆる機会をとらえて厳しく批判されなければならない。侵略者や植民者、奴隷制を代表する連中の「銅像」が引きずり倒される光景を、このかん何度も報道で目にしたが、私たちの側からも、その歴史的意義を見つめなおそう。東アジアの独裁国家体制に日本が果たした役割は重大だし、彼我の現在の姿はますます相似しているのだから。

 いま私たちは、毎年の八月一五日の反靖国行動に向けた準備に取り組みを開始している。今回は、前段集会として、こうした政治状況と正面から向き合いつつ「コロナ危機と天皇制」と題した集会をもち、北村小夜さんに「慈愛・慈恵」と天皇制について語っていただく。この問題では医療現場からも重要な問題が指摘されており、そこからの報告も予定している。川崎市ではヘイトに対する罰則付きの条例が有効となったばかりだが、いま、東京では、悪質な歴史偽造を重ね、朝鮮人虐殺の事実を否定する連中に宣伝の場を提供してきた小池百合子を含め、極右のヘイト活動家らが都知事選挙の場で差別発言を繰り返している。これに靖国派の極右団体を加えた連中の攻撃のなか、八月一五日にはまた集会とデモを展開する予定だ。しかし、糺されなければならないのは歪みきった靖国・天皇主義者たちの認識であり、暴力そのものの政治体制である。私たちは退かない。

(蝙蝠)

【月刊ニュース】反天皇制運動ALERT 49号(2020年7月 通巻431号)

 

反天ジャーナル ◉ (つるたまさひで、桃色鰐、天皇飛蝗)

状況批評 ◉ 対韓貿易規制措置一年、新型コロナ、そして内なる帝国主義意識(李泳采)

書評 ◉ 北村小夜『慈愛による差別』(由香子)

太田昌国のみたび夢は夜ひらく〈121〉◉ 香港での民衆鎮圧に思うこと(太田昌国)

マスコミじかけの天皇制〈48〉〈壊憲天皇制・象徴天皇教国家〉批判 その13◉ 二つの「緊急(非常)事態」状況をどうふまえるのか(天野恵一)

野次馬日誌

集会の真相◉6・13練馬駐屯地デモ&6・29防衛省申し入れ行動/6・14コロナに乗じたヘイトを止めろ!アクション/6・24見せしめ弾圧を許すな 高裁結審

学習会報告◉ 山本太郎『感染症と文明──共生への道』(岩波新書・二〇一一年)

反天日誌

集会情報

 

→前号の目次はこちら

*2020年7月7日発行/B5判12ページ/一部250円
*模索舎(東京・新宿)でも購入できます。
http://www.mosakusha.com/voice_of_the_staff/

【呼びかけ】国家による「慰霊・追悼」を許すな! 8・15反「靖国」行動の呼びかけ

 敗戦から75年目の8月15日を迎える。75年を経ても、天皇制国家による侵略戦争・植民地支配責任は果たされることがなく、被害者に対する謝罪や補償も十分になされていない。それどころか、「徴用工」や「慰安婦」をめぐる問題の近年の状況が明らかにするように、日本政府の傲慢な開き直り、逆ギレによる、韓国・中国政府に対する攻撃的な言動によって、歴史修正主義、排外主義の跋扈を生み出している。

 さらに、現在の新型コロナウイルスの社会的蔓延状況に対する安倍政権の施策は、感染防止はただひたすら「自粛」を強制するのみで、感染者したものが犯罪者であるかのように扱う社会的監視圧力(「自粛警察」)に棹さし、多額の税金が投入される「コロナ対策」も、その業務執行にあたっては不透明な組織を経由して電通やパソナなどの大企業に丸投げする利権まみれのものであることも明らかになってきている。「人の不幸」に便乗して利権を分け合う、災害便乗資本主義の醜悪な姿が露呈している。

 日本社会全体においても、政府に対する批判の意思表示は冷笑・攻撃され、「自粛」への社会的同調圧力が増すばかりである。

 天皇制が歴史的に果たし続けてきた役割は、社会的統合の「危機」にあたって、これを観念的な国民の共同性において緩和することの要求である。

 さきの大戦における350万人もの「国民」の死に対する天皇による慰霊と追悼は、その最たるものである。この慰霊・追悼により「国民」は再統合され、天皇制の戦争責任・植民地支配責任が隠蔽されていく。先代の明仁天皇は、天皇在位の間に、この戦没者追悼・慰霊を8.15だけでなく、沖縄を含む日本全国、さらには侵略先のフィリピンや南洋群島においても進めてきた。さらにこれに加え、雲仙普賢岳噴火に始まり、阪神・淡路大地震、東日本大震災、近年における各地の豪雨災害など、自然災害における死者・被災者の追悼・慰問にも積極的であった。

 しかしそれらも、被害を拡大させることになった都市開発等の施策や原発推進政策といった「人災=政策の過ち」を糊塗し、その責任に対する追及を曖昧にしながら、政権政党の政治を「情」の世界において追認していく機能を果たしているのである。そのために天皇は常に「国民」の幸せを祈り続ける、政治から超越した「慈愛」に満ちた存在として描き続けらているのだ。

 現在のコロナ禍に際して、現時点において天皇のメッセージなるものは発せられていない。基本的に明仁天皇の象徴像を引き継ごうとしていると思われる徳仁新天皇が、この「危機」に際してどのような動きをして自らをアピールするのか、その動向に対しても注視する必要がある。

 私たちは、今年の8・15行動にあたって、例年の靖国神社や、今年はどうなるか現時点では不明であるが、政府主催・天皇出席の戦没追悼記念式典に対する抗議行動を準備する過程で、この現在進行形の社会状況における天皇制の役割を批判的に解読しつつ、身分差別と格差社会の象徴としてある天皇制そのものを、「戦後75年」の天皇制国家の歴史的責任と重ね合わせて問題としていきたい。

 参加・賛同を訴えます。