二月二二日、練馬区勤労福祉会館において、「『アキヒト在位三〇年奉祝』に異議あり!祝うに値するのか『平成』? 過去を検証し、未来を探る討論集会」が開催された。問題提起は、「練馬の会」の池田五律(戦争に協力しない!させない!練馬アクション)、中川信明(練馬教育問題交流会)、松井隆志(武蔵大学)の三名。
池田は、八〇年代から現在までに至る政治史と社会史を、メルクマールとなる事象を列挙しながらふり返り、「傲慢で経済主義的なナショナリズム」から「不機嫌かつ歴史修正主義的なナショナリズム」、そして「逆切れ」した権威主義の国家が、軍事と治安に傾倒しながら法制を書き換え、官僚による「上からのファシズム」と日本会議など「下からのファシズム」を結合しようとしている問題を指摘した。中川は、明仁による天皇制が「皇室外交+国内行幸」を数多く展開しながら公的行為をなし崩しに拡大してきたという事実を示し、さらに、前回の代替わりで既成事実化した皇室祭祀と「国事行為」の結合が、今回の「代替わり」においてはより強固になっていることを述べた。さらに天皇が「平成は戦争のない時代」として戦争責任の問題を天皇制から切断しようとしていることを批判した。松井は、この三〇年間の社会構成の変化を、人口ピラミッドや共稼ぎ世帯数、非正規雇用や未婚の割合の増加など、いくつかの指標を使いながら説明。最近の「平成史」ブームの前提となる社会と社会意識の変化について分析を加えるとともに、メディアの「国民統合力」が拡散しているにもかかわらず、皇室報道が「天皇制の受容」につなげられるしくみについても述べていった。参加者は三〇人ほどだったが、体験を交えた会場からの質問も多かった。
「アキヒト退位・ナルヒト即位問題を考える練馬の会」の集会は、今後もほぼ二カ月に一度のサイクルで持続していく予定だ。次回は、「代替わり連休」の劈頭となる四月二七日に、「アキヒト退位・ナルヒト即位!? 今こそ問い直そう!天皇制」と題して、伊藤晃さん(歴史学)をお呼びして、練馬区立厚生文化会館で行う。ぜひともご参加を。
(蝙蝠)