【今月のAlert 】新天皇の政治とどう対決するか?「徹底検証!ナルヒト天皇制」集会へ!

 新天皇・新皇后の「代替わり」からひと月。徳仁天皇制の「個性」は、思いの外スムーズに打ち出されているようである。明仁のような権威性は、もちろんまだ備わってはいないようだ。だが、その若さ(父親に比べて)と相まって、「気さくな人柄」と言った「軽さ」を強調することで、親密性をアピールする方向も模索されているようにもみえる。不安視されていた雅子の病も、「代替わり」儀式と先日のトランプ会見を、満面の笑みでそつなくこなしたとされることで吹き飛んでしまったかのように論じられている。トランプ夫妻との会話は英語で通した。やっぱり雅子の本領はこれだと。

 二七日、徳仁・雅子は、皇居宮殿で歓迎行事を行ったあとトランプと会見。夜の宮中晩餐会で徳仁は、「日米和親条約以来」の相互理解と信頼を育み、「今や太平洋を隔てて接する極めて親しい隣国として、強い友情の絆で結ばれております」と述べた。日米戦争もすでに乗り越えられた「様々な困難」のひとつにすぎない。そして「日米両国が困難な時に互いに助け合える関係にある」として、「トモダチ作戦」にも言及した。

 さらにこうした日米関係重視は、明仁が「天皇として御在位中、平和を心から願われ、上皇后陛下と御一緒に、戦争の犠牲者の慰霊を続けられるとともに、国際親善に努められました。今日の日米関係が、多くの人々の犠牲と献身的な努力の上に築かれていることを常に胸に刻みつつ、両国の国民が、これからも協力の幅を一層広げながら、揺るぎない絆を更に深め、希望にあふれる将来に向けて、世界の平和と繁栄に貢献していくことを切に願っております」という文脈の中に位置づけられる。

 「令和初の国賓」となるのは中国の習近平であるという話もあったようだが、G20を前にしてわざわざトランプを招くにあたっては、「新しい時代」においても中国ではなくアメリカとの関係こそが日本にとって基軸なのだということを「国民」的に確認するために必要だったということだろう。徳仁は、そういう中で期待された政治的役割を、「元首」然とした態度で、明確にこなしたのである。

 一方、秋の「即位・大嘗祭」に向けた儀式も着々と進んでいる。五月八日に行われた「(皇霊殿神殿・賢所への)期日奉告の儀」や、「(神武天皇陵などへの)勅使発遣の儀」などの儀式はニュース映像などでも流された。そこで映し出された徳仁の姿は、やはり「伝統的」装いに満ちたものであった。一三日には「大嘗祭」儀式で使う米の産地を決める「斎田点定の儀」も行われ、ウミガメの甲羅を使った亀卜によって「悠紀田」が栃木に、「主基田」が京都に決められた。

 当然のことだが、これら世俗性/神聖性の双方に足場を持つ天皇制のありかたは、徳仁天皇への「代替わり」においても、いささかも変わるものではない。さらに、衆参両院や地方議会にまで広がろうとしている新天皇即位への全会一致の「賀詞奉呈」の動きなど、挙国一致の息苦しい天皇空間の広がり、排除と包摂という機制に変化はない。しかしその上で、われわれは、徳仁天皇の「独自性」がいかなる方向で演出されていくかということについても、注目しないわけにはいかない。女性宮家問題ひとつとってもそうだが、天皇制の位置づけをめぐる権力内諸分派の対抗関係は、徳仁天皇制をどう演出するかということに関わって現れるのだ。

 私たちも呼びかけ団体のひとつになっている、「終わりにしよう天皇制『代替わり』反対ネットワーク」(おわてんねっと)では、七月一五日に、「徹底検証!ナルヒト天皇制」という集会を持って、この問題に切り込んでいきたいと考えている。集会では「代替わり」奉祝報道、女性・女系天皇問題、明仁天皇制が「達成」したこと、戦争と天皇制、徳仁と「水問題」、政党の動向……などといったテーマから考えていきたいと考えている(一三時一五分開場、於・文京区民センター)。ぜひ多くの方の結集を。そして夏から秋に向けての闘いを準備しよう!

(北野誉)