【集会報告】第32回政教分離全国交流集会

 靖国参拝、靖国合祀、即位大嘗祭など、靖国神社や天皇制による基本的人権への侵害や政教分離をはじめとする違憲行為を問う訴訟が、これまで各地で取り組まれてきた。その経験を交流させようと呼びかけられた全国集会も、今回で三二回となる。

 五月二四日に、東京早稲田の日本キリスト教会館で持たれた集会では、まず「記念講演」として、中嶋啓明さん(人権と報道・連絡会)から、「代替わりとマスコミ報道」と題して、前回の代替わり、そして今回の代替わり報道を素材に、メディアによる天皇制礼賛の「報道」がつくり出される現状の問題性を、取材体制に組み込まれた体験から、とても具体的に話された。当時のメディア労組の内部通信での具体的なやり取りに示されたような問題意識がすでに現在は絶たれ、政府や皇室情報のべったりとした垂れ流しが、新天皇賛美の「大衆意識」を構成しているのだ。

 質疑の後、続いて、今回の即位大嘗祭違憲訴訟の弁護団を代表して、酒田芳人弁護士から報告。この訴訟は、ほんらい公費支出への差止訴訟+国賠訴訟を一体のものとして提訴されていたのだが、昨年の提訴直後に裁判所がこれを強制的に分離させ、かつ、今年二月に「差止訴訟について却下」の判決、さらに四月には控訴棄却の不当判決が出されている。今後は、これへの上告審と、「国賠訴訟」についての弁論が続く。皇室による祭祀の問題と「国事行為」の内実を問う内容を、今後は展開していくことになる。

 さらに、安倍参拝の違憲を問う靖国訴訟(昨年の控訴打ち切りと棄却に続き現在上告審へ)の現状についての報告、また、朝鮮人の軍人・軍属を強制的に靖国神社に合祀し、分祀を認めようとしない靖国神社や日本国の責任を問う「ノー!ハプサ(合祀)訴訟」についての報告がなされた(ノー!ハプサ裁判は、五月二八日に一審敗訴、控訴審へ)。

 五月二五日は、北海道、関西、島根、広島、山口、九州、沖縄など各地からの参加者による報告があり、来年の全国集会を北海道で六月一九日・二〇日に実施することが確認された。今回は、NCCの平和資料館やWAM女たちの戦争と平和資料館見学なども組み込まれ、とても内容豊かな集会だった。  

(蝙蝠)