「アキヒト退位・ナルヒト即位問題を考える練馬の会」は、六月二二日に連続学習会の第四回として、友常勉さん(東京外国語大学、近代日本思想史)により、「部落問題から天皇制を考える」と題する学習集会を開催した。
天皇制は、他国家の類する王政と同様に、世襲により継続されている。そのことが、近代天皇制の成立時に、それまでの貴賤の構造から新たに作られた身分制である華族制度や部落差別と天皇制を一体のものとした。しかし、これは米国が戦後日本の支配システムに天皇制を据えるにあたり桎梏ともなった。戦後においては、植民地宗主国が自らの犯罪を覆い隠しながら、天皇制をそのままに、大日本帝国の人種や身分による差別を「国民主義」の「同質性」に塗りこめなおさねばならず、大きな虚偽が必要とされたのだ。
天皇制による「国民主義」という意識が社会を覆ううちに、天皇も「差別」「疎外」された存在だとして、被差別の側の自分たちをこれに重ねるという倒錯した認識が生まれた。これは文化主義的疎外論、文化主義的同化論ともつながり、それはしばしば、反差別という認識から天皇制を撃っていく思想の無力化や内面的抑圧となっていった。
フェイク情報の氾濫とともに、言葉や行為への責任が混乱し、「倫理」や「正義」も拡散させられる。その中で、新たな反差別・反戦・反植民地主義の意識形成を、かつての差別糾弾闘争の再定義とともにやり直さねばならないのではないか。友常さんの問題提起は重たいものとして響いた。
練馬の会は、今回を含め、一昨年一二月から五回の集会、四回の学習集会を開催してきた。次回は、第五回学習集会として、八月二七日に、武蔵大学の千田有紀さんの「皇室におけるジェンダー(仮)」を行う予定だ。ぜひ参加を。
(蝙蝠)