【今月のAlert 】1年間の「代替わり」反対闘争の成果を反天皇制運動の糧に

 私たちはいま、首都圏の仲間たちとともに呼びかけ、多くの人々とともに「代替わり」反対闘争を連続的に闘い抜いた「おわてんねっと(終わりにしよう天皇制!『代替わり』反対ネットワーク)」の、街頭行動を伴う行動としてはおそらく最後となる、12・7「終わりにしよう天皇制! 2019大集会&デモ」の準備に向かっている。年明けにも総括のための集会を持ち、おわてんねっととしては正式に解散する予定だが、正式結成以来一年、反元号署名運動などの「前史」も含めれば足かけ三年にもわたる、一連の反天皇制の行動に、ひとつの区切りを付けることになる。

 一連の行動を通じて、私たちは少なくない未知の友人たちと出会い、あるいは新たに出会い直す経験を重ねていくことができた。そして、共同の作業や討論、行動の場を共有しながら、特権身分制度と差別の象徴、国家主義的民衆統合の軸である天皇制に、はっきりと否の声を上げ続けることができた。私たちの行動それ自体は、六〇〇に届く数のものとはならなかったとはいえ、前回「Xデー」以降も反天皇制運動に関わってきた者としては後退戦を強いられてきた反天皇運動状況において、おわてんねっとがひとつの結集軸となって、解放感のある、また手応えも実感できる運動が作りだされていたと考える。そして私たち反天連も、その運動の一翼を担ったことに、いささかの自負さえ覚えている。

 とりわけこの一年間は、4月30日の明仁天皇退位│5月1日の徳仁天皇即位への対抗行動をピークとする「反天week」、10・22「東京戒厳令を打ち破れ! 天皇即位式反対デモ」と11・14のナイトイベント「大嘗祭反対!@トーキョーステーション」を、それぞれ大きな柱として設定しながら、ほぼ毎月にわたって、さまざまな反天皇制の行動や討論会などを連続的に打ち抜いてきた。そしてその全てにわたって、私たちの予想を超える数の人びとが結集し、ともに「天皇制はいらない」という明確な声を上げていくことができたのである。個人的に印象深かったのは、四月三〇日に新宿アルタ前で展開された「退位で終わろう天皇制! 新宿大アピール」だ。それは警察や右翼の介入をはねのけて、二時間にわたって一等地を占拠し、大きな横断幕を広げてのアピール行動だった。そして目の前にあるアルタ・ビジョンに、明仁天皇の退位式の模様が映し出されるや、式典の間中、抗議のコールが上がり続けた。天気も悪く、少数の情宣活動でもこの日にやろうと考えていた私たちの想定を超えて、デモがあるわけでもないのに、一五〇名もの人びとがアルタ前を埋め尽くしたのだ。同様の状況は、皇居の「大嘗宮」まで九〇〇メートルという絶好のポイントで取り組まれた一一月一四日のナイトイベントにおいても現出した。

 解放感をもたらすことのできたゆえんは、ひとえに、いま目前で現出している天皇制総翼賛状況に対して、なんらの「忖度」や「戦術的判断」などをすることなく、きわめてストレートに「終わりにしよう天皇制」という声を上げていく場所を確保し、反天皇制運動の存在を一定程度可視化することができたからだといえよう。前天皇に感謝を捧げ、新天皇を奉祝するムードが文字通りに列島を覆い、いわゆる「リベラル」派の言説もそれに加担していくなかで、まずは鮮明な旗を立てることが求められていたのだと思う。

 これまでの行動としては最大規模の五五〇名近くが参加した「即位式」反対デモでは、機動隊による執拗な介入・挑発が繰り返され、それに抗議した三名の参加者が逮捕されるという弾圧もあった。その日のうちに立ち上げられた救援会と、弁護団の手厚い活動によって、一一月一日までに全員が奪還されたが、ここで発揮された大衆的な反弾圧の行動も、これら一連の行動を貫いた「精神」と別個のものではなかった。

 そうしたなか、「第31回多田謡子反権力人権賞」が、関西救援連絡センターや入管行政と闘ってきたエリザベス・アルオリオ・オブエザさんとともに、反天連が受賞するとの知らせがもたらされた。一九八四年結成以来の反天皇制運動の取り組みが評価されたものだが、この一年の反天皇制の闘い全体への賞であることは疑いない。

 もちろん、来年も反天皇制運動の課題は目白押しである。一連の行動を通して得たものを大切にしながら、来年の行動に取り組んでいこう。「『自由・民主・平等・平和』をもとめる道に、天皇の居場所はない」(10・22 ビラ)のだ。

(北野誉)