昨年の即位式〜大嘗祭を頂点に展開された天皇の「代替わり」は、「立皇嗣の礼」を残して最終段階に至っている。しかし、一六年の明仁メッセージにはじまった天皇制のイベントは、天皇が憲法をはじめとする法体制や政治権力に強い影響力を行使し、「天皇神話」が国家の儀式に明確に組み込まれていくという事態でもあった。二月一一日は「神武」建国神話を「祝う」日とされるが、徳仁天皇制においてこれらがどのような意味を持つかという問題を今後も問い続けなければならない。
今回の反「紀元節」行動は、文京シビックセンターで、講師として小倉利丸さんにこのかんの天皇制の問題を話していただいた。小倉さんは、資料として論文「内田樹の天皇制擁護論批判——明仁の退位表明をめぐって——」(https://www.alt-movements.org/no_more_capitalism/ 所収)や「文化・伝統のレイシズム」(反天皇制運動Alert四四号 二〇二〇年二月所収)に加え、パワーポイント資料を使って、天皇〜皇室が強調する「日本の伝統」の問題をさまざまな観点から提起してくれた。その中で強調されたのは、国家の政権の中核にあるメインストリームが、そのまま極右の「伝統」「ヘイト」派であり、これが日本の安倍政権やアメリカのトランプらのみならず、新自由主義のグローバル化において世界的にも中心になっていることの問題だ。この事態の中で、例えば日本国内における「憲法擁護」がどれほど力を持ちうるのか。その重要さは当然だが、そのためにも私たち自身が「世界を変える」構想力を持ち、それを展開する中でつながりを作り広げていくということこそ重視されねばならない。
この小倉さんの問題提起に、参加者からも積極的な反応が相次ぎ、その盛り上がりの気持ちとともに反「紀元節」デモへ出発していくことができた。参加者は一四〇名。
(蝙蝠)