八月六日、東京高裁第五刑事部(裁判長・藤井敏明)は、二〇一八年一二月一二日、靖国神社の外苑で「南京大虐殺」に抗議した香港人の郭紹傑(グオ・シウギ)さんと、その行動をビデオで記録していた嚴敏華(イン・マンワ)さんに対する不当弾圧事件に対して、「本件各控訴を棄却する」との不当判決を言い渡した。
昨年一〇月一〇日に言い渡された二人に対する一審判決は、郭さんを懲役八か月に、嚴さんを懲役六か月に処する(未決勾留数中各一五〇日)という不当判決であった。判決後、二人は香港に強制送還されたが、無罪を訴える二人は即日控訴した。
その控訴審第一回は六月二四日に開かれた(本紙七月号参照)。しかしながら、弁護側で準備した書証・人証は全て不採用となり一発結審、そして八月の判決言い渡しに至ったわけである。
この日、ただでさえ狭い警備法廷は、いわゆる「物理的距離」を取るためとして傍聴者は一一人しか入れず。そこで裁判所は控訴を棄却し「本件においては、本件抗議活動自体が罪に問われているのではなく、本件抗議活動を行うために本件外苑に立ち入った行為が問題とされている」のだ、という論理で、靖国神社に対する抗議という現実を外形的に無視しつつ、実際には靖国神社に対する抗議という現実を政治的に裁いたのである。最悪の判決と言わざるを得ない。
この不当判決を受け、二人は最高裁に上告手続きをとった。裁判はまだ終わっていない。引き続き注目を。
(北野誉)