【今月のAlert】「共謀罪」廃案!軍事国家・警察国家はゴメンダ!

六月一五日、「共謀罪」の趣旨を含む改正組織犯罪処罰法が成立した。「森友学園」「加計学園」問題の説明責任も果たさず(安倍は逃げ切った感か)衆院での強行採決に続き、参院では参院法務委員会での採決を省略し、「中間報告」という卑劣な手法で採決。

「暗黒時代の始まり」「軍国主義化の総仕上げ」「社会の分断」などの声が各方面から聞かれ、抗議声明も多数だされた。

『警察捜査の正体』の著者・原田宏二は、「警察に新たな『武器』を持たせることになった」といい、元刑事裁判官の木谷明は、警察の市民監視の活発化を指摘し、「『組織的犯罪集団』『実行準備行為』も歯止めにならない。自分は『一般人』だと思っていても、警察に疑われたらそれまでだ。法文は曖昧だから、どのようにも解釈できる」とインタビューで危険を指摘する。

審議の過程で、警察による写真やビデオ撮影がなされることへの危惧が呈されたが、私たち反天皇制を掲げたデモはすでにそのことが常態化している。
毎回、尋常ではないビデオがデモ隊に向けられ、その数は増すばかりである。その違法性を訴えても、気にも留めない素振りで撮影を続ける。警官のなかには違法だと認識していないと思われる者もいる。最近では撮影者への抗議を、デモ隊を囲っている機動隊が妨害するようになり、所轄の警官が警視庁に気を使うかのような行為も見られるようになった。

どんなに不当なことであっても、「警察の正義」が「正義」であるという不条理がまかり通るということを、私たちは反天皇制の運動をとおして、肌感覚で体感している。だから木谷がいう「疑われ」より以前の、警察の思惑で犯罪者を自在に仕立てあげることが出来る、もっと恐ろしい法律だといいたい。

軍事化とともに警察国家になっていくことに心底恐怖を感じる。けれども、私たちは萎縮することなく、どのような抵抗ができるか仲間たちと諦めずに模索し繋がっていきたいと思う。

「共謀罪」はただちに廃案にし、これ以上警察国家にしてはならない。

ところで、この国会で安倍首相はさかんに、「印象操作」という言葉を繰り返した。政治にその要素は多分にあると思うが、そもそもその分野が得意なのは安倍内閣ではないか。そしてそこでは、メディアが非常に大きな役割を果たす。

国連人権理事会の特別報告者デビッド・ケイは政府によるメディアへの圧力に警鐘を鳴らした。それほど、この国の報道の自由には制限がかかり、萎縮が進んでいる。そのメディアを通じて六月末より内閣官房と消防庁の「弾道ミサイル」落下時についての動画CMが流されるようになった。いよいよ自民党の九条改憲論議が始まり、公明党に媚びた九条加憲を新提案し、何がなんでも自衛隊の存在を合憲化しようというこのタイミングでの放映である。ミサイルから身を守るため、隠れるものがない場合は床に伏せて頭をガードして下さいと、まるで戦中の焼夷弾訓練のバケツリレーではないか。原発再稼働に邁進しながら、こんな子どもだましで危機を煽る。前振りは北朝鮮のミサイル報道、伏線は昨年大ヒットしたシン・ゴジラというところだろうか。

お茶の間のTVでミサイルから身を守るためのCMがまことしやかに流れてくる時代になるとは、正直愕然とする。

特定秘密保護法、安保法制、共謀罪と数の力で押し切られてしまったが、それでも国会前は抗議の人々で埋め尽くされたし、与党の抵抗も見られた。

けれども、天皇の「退位特例法」においては「翼賛国会」としかいいようがないものであった。一貫して「神聖にして侵すべからず」の空気が息づいていた。まったく天皇制ほど「印象操作」された政治はないだろう。神話に基づく「万世一系」を人はなぜ現代においてさえありがたがらなければならないのか。

二〇一九年天皇「代替わり」、翌年二〇年に施行を目指す新たな憲法改悪、そして東京オリンピック。
その対抗軸を考えていきましょう。
決して操られることのない個に目覚めた人たちよ、ともに!

(鰐沢桃子)