【集会報告】反天連12.23集会 天皇の「象徴的行為」ってなんだ!? 「代替わり」状況のなかで考える

八月八日の天皇明仁のビデオメッセージによって、にわかに「生前退位」問題が浮上した。「生前退位」とは言うまでもなく天皇「代替わり」である。その「代替わり」に向け、明仁はメディアを通じて国民に語りかけ、国政における法的対応を促した。もちろん、これ自体が違憲行為である。しかも、それは明仁自らが拡大し、推し進めてきた「象徴的行為」を「代替わり」以降も継続し、天皇制を安定的に永続させたいというメッセージだった。そこで本来、国事行為以外を許されない天皇の、「象徴的行為」とは何かを改めて問うべく集会が開催された。

発言者は、浅野健一さん(同志社大学教員)、米沢薫さん(研究者)、天野恵一さんの三人。浅野さんは、リベラルとされる朝日、毎日、東京新聞も、こと天皇報道に関しては賛美一色である。しかも、明仁が「護憲天皇」であるとの認識に立って安倍政権と対立しているかのような報道は問題だ。自らの戦争責任に向き合わず、暴走する安倍政治に追従するマスコミの罪は重い、と指摘した。

米沢さんは、国家は象徴を必要とすると同時に宗教性を持つこと、その象徴には常に暴力性がつきまとうことなどを論じた。そして、天皇制に対する国民の無関心が天皇制を廃絶しようとする力に対して強く反発し、無関心なまま天皇制を維持することを強力に求めるという田川建三や、共同性の喪失、個に解体されていく孤立感を埋めるものとして天皇制の宗教性を利用した国民統合が行われているという桑原重夫の論考を紹介し、今なお有効ではないかと提起した。

二人の発言を受けて天野さんは、奥平康弘著『萬世一系の研究』を紹介しつつ、日本国憲法は国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の三原理に加え、実は象徴天皇主義の四原理で成立してきた。その象徴天皇主義が三原理を拘束し、内側から腐らせてきたと指摘した。その上で、三原則をきちんと確立する運動が天皇制をなくしていくことにつながると語った。

集会参加者は約八〇人。会場からは質問や意見も出て、熱気あふれる集会だった。

(川合浩二)