【今月のAlert 】開始された天皇制国家の法再編プロセス:私たちの民主主義を今こそ突き出そう

今回の八月一五日の行動には、常とは異なった緊張感がありました。直前に発表された「天皇メッセージ」をもって、明仁天皇制のXデーへのカウントダウンが開始され、第X期の私たちの活動における主要課題が、はっきり、私たちにとってだけのものではないという状況になったからでもあります。

しかしもちろん、その状況は、より困難なものとしてあります。リオではオリンピックへの批判が世論の半数といわれるまでに高まり、ファヴェーラなどの貧困問題もクローズアップされながら、世界中の資本とメディアはこの事実を、オリンピックが開催されるやいなや一斉に黙殺しました。今月に開催されるパラリンピックは、新自由主義のもと福祉政策がそもそもまったく端緒につかない状況のブラジルでは、予算も規模も報道も、よりアンバランスな「先進国だけの祭典」となることが明らかです。

こうした「国家イベント」も含めて始まったばかりの「Xデー」状況ですが、ここでは、いつまでたっても「途半ば」としてその実態を糊塗するしかない安倍の経済政策に代わって、「アベノテイコク」主義ともいえるような状況が、今後、はっきりと起動していくことになるでしょう。靖国をめぐる「日の丸右翼」の暴力はもちろんひどいものでしたが、オリンピック報道の「国威発揚」の絶叫を見せられていて、むしろこちらのほうへの恐怖を感じさせられました。

明仁は、今回のメッセージで「在位三〇年」をもって区切りとしたいという意向を明らかにしています。まだもちろん想定の段階にすぎませんが、この秋から、天皇制をめぐる法律の改定が検討されることだけははっきりしています。それが顕在的に憲法をめぐるものとなる可能性があることはもちろんですが、そうでなかったとしても、その内実は、現実の天皇制の実態を追認するかたちで、憲法解釈や法体制を全面的に俎上とするものとならざるを得ません。しかもその法や法体制の改定は、国会における「全会一致」ばかりでなく、メディアや世論レベルにおいても「一致」することを、実質的な目的として進められることになるでしょう。「天皇あやふし ただこの一語が 私の一切を決定した」(高村光太郎)にも似た幻惑が、すでに言論状況、さらには対抗的運動の内部をも徐々に支配しつつあるのです。

八月八日以後の状況は、これを示唆しています。「陛下のおことば」が、それ自体は法的な根拠を持たないにもかかわらず、これほどまでに威力を発揮することは、私たちが依拠している「戦後民主主義」の脆弱な実態でもありますし、これに対して、私たちがほんとうの意味でその内実を構築していくことへの深刻な必然性をも問いかけるものです。明仁が示したスケジュールに基づいて、今後の政治情勢は展開するでしょう。この秋から来年にかけて天皇制関連の法体制が整備されようとし、それを前提に「在位三〇年」式典が組織される。そして、徳仁の即位儀礼が実施され、新たな天皇制の発足をもって「東京オリンピック」が開催される、というのが、この日本国家に想定される「ハレ」のスケジュールです。

そして、この天皇制と「アベノテイコク」主義は、もちろんそれだけではない。新内閣のもと、「テロ対策」を名目に、とりわけ稲田朋美防衛大臣らにより、政治全体が軍事傾斜をより強めています。沖縄の米軍基地建設も、反原発テントの強制撤去も、大分での監視カメラも、警察権力がより暴力的に行使され、それがさまざまな反対勢力を圧殺していることを明確にしています。こうした軍事・警察国家に向けた官産学の一体化もまた、悪辣さを強めています。

私たちはこの状況に対して微力な存在です。しかし、今回の八月の行動においても、昨年を超える人々とともに、明確な主張を掲げて闘うことができています。これを、どのようにしてもっと広範なものとしていくことができるか、天皇制の代替わりと安倍国家の軍事体制に抗する闘いを、この秋以降、より深い質をもって開始していきたいと考えています。

(蝙蝠)