【集会報告】「慰安婦」被害者が切り開いた地平―旧ユーゴの活動家を招いて

八月一四日を国連の「『慰安婦』メモリアルデー」に、という趣旨で毎年この日に行われている集会。今年の東京集会は、戦時性暴力問題連絡協議会と日本軍「慰安婦」問題解決全国行動の共催で、「『慰安婦』被害者が切り開いた地平」―旧ユーゴの活動家を招いて」として、日本教育会館で開催された。

まず、青山学院大学教員で、国際人権法を専門とする申惠丰(シン・ヘボン)さんが、「重大な人権侵害の被害回復とは―日韓『合意』はなぜ真の解決にならないのか」と題して報告した。昨年一二月のいわゆる「日韓合意」についてふれつつ、「軍の関与の下に」ではなく、「軍が設置し、運用した制度であった」とされなければならない。被害女性は性奴隷状態に置かれていたのであり、重大な人権侵害の事実を語り継いでいくことが、被害者の名誉を回復し再発防止のための道であると強調した。

続いて、ラダ・ボリッチさんが、「旧ユーゴスラビア女性法廷―正義と平和構築のフェミニスト・モデル」と題して報告。クロアチア出身の彼女は、内戦中、現地で女性戦争被害者救援センターを組織したフェミニスト活動家・研究者である。

ボリッチさんは二〇一五年の、サラエボで行われた民衆法廷について報告した。法廷は犯罪と加害者を名指し、「被害者たちの癒しの場」となったという。内戦終了後も女たちへのさまざまな暴力が続いている、「家父長制、男性優位主義、軍事主義からの解放」をめざそうと呼びかけた。

討論の中では、旧ユーゴでも女性への性暴力が、対立する民族への敵愾心を煽るために利用された事実があり、それは女性への暴力が、国家や民族の枠においてとらえられるからである、「慰安婦はどこの国でもやったこと」という論で性暴力を相対化する議論もあるが、女性への暴力の問題は、普遍的な人権侵害の問題として捉えられなければならない、などの議論があった。

なお、集会後にデモも行われたが、懸念された右翼による妨害は、今年はほとんどなかった。

(北野誉)