【表紙コラム】

わけあって伊勢神宮に行くことになってしまった。でもあにまるの端くれとしてはねぇ、言い訳でもしないことには……、ということで、「ななこのお伊勢さん体験記」。

まず周辺も含めて勉強のためにガイドブックを購入。いや、すごいのね。江戸時代からの一大テーマパーク。「正しい参拝の仕方」も書いてある。「入口の鳥居をくぐる前に会釈をし、手水舎の水で心身を清め、お賽銭を入れ、二礼二拍手一礼の作法で拝礼する」。「正しい」ってなにさ。

先日の伊勢志摩サミット、G7の面々は宇治橋で待ち合わせ。もちろん一般の人は入場禁止、「……安倍総理大臣は、神宮附属幼稚園の園児46名による歓迎を受け到着したG7各国首脳を宇治橋前で出迎えました。……安倍総理大臣及びG7各国首脳は、神宮の荘厳で凛とした空気を味わいつつ、正宮を訪れました」(外務省HPより)。

だけど、なにしろ平日でも老若男女がいっぱい。それらがけっこう長い砂利道をジャリジャリ、しかもおしゃべりしながら歩く。広い敷地のなかで樹齢の古い杉の木などが堂々としてるし、森の奥はひんやりいい感じなんだけど、ジャリジャリやかましい。私には彼らが感じたかもしれない「荘厳で凛とした空気を味わう」ことはできなかった。正宮ってのれんみたいな幕がかかった建物が目の前にたちはだかっていて、普通には見られないのね。みんなのれんに向かっておじぎしてる。正宮ってどこ? 20年で造りかえる建造物はちょっと見てみたかったのに。

外務省は政教分離に抵触しないように、公式発表を「参拝」ではなく「訪問」で統一するように指示を出したり、けっこう苦労したらしい。そうだろう。間違いなく宗教的な空間である。でも、それをあまり感じなかったということは、それを誤魔化すことにも成功してるっていうことかぁ?

(中村ななこ)