【今月のAlert】近代天皇制の歴史の内実を批判し「紀元節」を撃つ闘いを組み立てよう

二〇一五年一二月の日韓政府による「慰安婦問題」「合意」が、とうてい歴史問題の「不可逆・最終的」な決着ではありえないということは、その時点から多くの批判とともに語られてきた。そしてそれにもかかわらず、安倍政権の意をくむ右派勢力は、この「合意」をまさに「錦の御旗」と掲げながら差別排外主義の轟音をかき立ててきた。しかし、それから二年を経てこの検証結果が韓国側から発表され、非公開とされてきた秘密合意が存在しており、それが当事者の尊厳を踏みにじるもので、とうてい歴史問題の「決着」とは言い得ないものであるということが明るみに引き出された。

これにより、大日本帝国から戦後の日本国家を通じて、植民地責任、侵略戦争責任が、いまなお未決のままであることがあらためて直視させられたのだ。嘘につつまれた「合意」をいくら形式的に保持しようとしても、この歴史問題は、国家の心臓に深く刺さったものであり、この問題をめぐる言説や国家間の交渉の実態は、双方の国家とりわけ日本国家の腐敗状況をそのまま示すものとしてあるのだ。天皇がどれほど「慰霊」を重ね、「おことば」をどれほど繰り出しても、それが空疎なものでしかないということが、このような事実が示されるたびに露呈されていく。

この二〇一八年を、政府は「明治一五〇年」として祝うのだという。頻発する政治テロと内戦を経て、天皇の神権を核とする天皇制明治政府が成立した。欧米の帝国主義を制度としてまといながら、近隣の民族への侵略を重ねることで国内の近代化をすすめ、東アジアから世界へと軍事力で影響力を高めていった。侵略戦争の深化とともに天皇の大権が神格化されて臣民の精神を統合する存在となっていき、天皇の勅語や図像が国家における最重要なものとして強要された。内戦の死者を祀ることにはじまった靖国神社は、侵略戦争の死者を祀るまさに「戦争神社」となることで完成した。「明治一五〇年」を祝うということは、これらの事実を現在の国際環境や社会状況の中で、「正」のものとして位置づけることであり、歴史修正主義にさらなる上塗りを重ねることである。

この事態のなかで、憲法改悪の具体化が安倍政権から堂々と打ち出されてきている。さらに悪いのは、これが、北朝鮮の核とミサイル開発や、米国トランプ政権の明らかな揺らぎとともに進んでいることだ。日本国家はミサイル配備や空母保持など野放図な軍拡競争にすでに足を踏み入れており、経済構造もまた全体的な衰退とともに極端に官需に傾いて脆弱の度を強め、危機的な状況が拡大している。広告宣伝がフェイクニュースとつながり、情報による支配が自己目的化しているという悲惨なありようもまた現実だ。

昨年の「退位特例法」の制定後、天皇代替わりに向けたスケジュールが、日に日に具体化していっている。来年早々には「平成在位三〇年」が、そして来春四月末〜五月には明仁退位と徳仁の即位、さらに来秋の大嘗祭という流れは確定している。徳仁の即位とともに元号の改元も予定されているから、この夏には元号も発表されることになるだろう。かつて裕仁の時代の、死のカウントダウンと社会全体の「自粛」漬けのような状況は起きないとしても、「ニッポン」賛美の異様な社会状況は着々と広がっている。天皇の代替わりという国家イベントは、その形態において少しばかりかつてとは違ったものになったとしても、私たちを取りまく社会状況に深い翳りをもたらすことはまちがいない。

しかし、私たちは嘆いているつもりはない。天皇制の問題を自分たちの切り口として選択しながら、これまでいろいろな人びととのつながりを組み立ててきたのだ。私たちは今年もまた、二月一一日に、反天皇制の闘いを準備している。今回は、「『代替わり』と近代天皇制一五〇年を問う! 反『紀元節』二・一一行動」として、歴史問題を正面から問いただしていく闘いに取り組んでいく。この日には各地でもさまざまな取り組みがなされるだろう。ともに進んでいこう。

(蝙蝠)