【集会報告】なぜ元号はいらないのか?

七月二一日、文京区民センターにおいて、「なぜ元号はいらないのか? 7・21集会」が九七人の参加を得てもたれた。主催は、このかん、天皇「代替わり」に反対する行動を共同でつくっている首都圏枠のグループによって作られた「元号はいらない署名運動」。もちろん反天連も呼びかけ団体のひとつだ。

天皇の「二重権威」などというくだらない議論もからんだ「新元号」への移行をめぐるドタバタは、元号というものの不便・不合理さをあぶりだしている。同時に、にも関わらず、それをやめようという声を表面化させることのない、天皇制社会のありようをも。そうしたなかで取り組まれた署名は、すでに目標数の五〇〇〇筆を超えている。その報告も含めて、元号いらないという声をはっきりと上げていこうという趣旨の集会だった。

主催者あいさつに続いて、中国近代思想史を専門とする坂元ひろ子さん(一橋大学名誉教授)から、「中国の革命経験から考えるアジアの共和国」と題して講演を受けた。坂元さんは、「心身に絡みつくように私たちを縛っている」(安丸良夫)天皇制を問題にすべきであると話を始めた。「元号制度」は、それが中国古典に典拠を持つ言葉で作られることに明らかなように、古代以来の対中国コンプレックスが骨がらみになった制度である。中国においては「天」の観念と易姓革命の思想があったのに対して、日本においてはそのコンプレックスを解消するために、「万世一系」が強調されたことを指摘した。そして、清末民初の改良・革命思想における「共和」論議について詳しく紹介された。

続いて、靖国・天皇制問題情報センターの中川信明さんから、これまでの反元号の取り組みについての報告、前立川市議の大沢豊さんから、二三区二六市の文書における元号および西暦使用の現状、新元号のためのシステム改修の費用などについての調査報告がなされた。

茨城・戦時下の現在を考える講座、「オリンピック災害」おことわり連絡会アジア女性資料センター、あいち代替わり・植樹祭を考える会(仮)のアピール、今後の行動提起で集会は閉じられた。

この集会については、後日朝日新聞でも記事になった。反対する声の存在が取り上げられたのはよいとしても、署名運動について言及されず、なんのための集会なのか不明。しかも「平成流」によって、右も左も苦労し、反対運動も退潮しているという論調。そうではない。集会で中川さんも強調したように、「代替わり」=改元を目前にして、「元号反対運動の三つ目のピーク」に向けた、具体的な取り組みが始まっているのだ。秋にかけてさらに署名を集め、反元号の声をさらに広げていこう。

(北野誉)