【集会報告】「憲法と天皇制」練馬の会学習会

八月二四日、「アキヒト退位・ナルヒト即位問題を考える練馬の会」の学習会が開催された。六月二五日の第一回(既報)に続いて二回目である。今回は、憲法学の清水雅彦さん(日本体育大学教員)に「憲法と天皇制」と題して話していただいた。

清水さんの話は、まず最初に憲法の成立史から憲法論の基本概念について説明。統治が主権を持つ天皇に総攬され、実質的に権力の分立がなされていない外見的立憲主義に対し、国民主権から人権を保障し、国家権力を縛ることを目的とする近代立憲主義の理念を強調した。さらに、現代の立憲主義は、ナチズムへの反省からポピュリズム的な「多数派の暴走」を制約し、積極的に違憲審査制度を運用するべきと述べられた。

これらを前提に、議論は「憲法と天皇制」という中心テーマに。清水さんは「将来的には第一章を廃止」「天皇制は廃止するべき」という立場を鮮明にしながら、天皇条項さらに日本国憲法の制定過程と、上諭、前文の構造を説明し、現憲法が民主主義的観点からは不完全で封建的遺物を残すものと断じた。学校の体育教員をめざす学生たちに向けて批判的に講義されている「君が代」「日の丸」や「元号」「祝日」などの検証・歴史教育の一端が、ユーモアを交えた明快な口調と表現で語られていった。

話はさらに展開し、天皇明仁によるビデオメッセージの問題点について。この内容が「天皇制を永続させる」ための強い意思に基づく明らかな政治的発言であり、公的行為を拡大解釈するものであると批判。この発言を後追いで固定化させていった「退位等に関する皇室典範特例法」は、天皇発言を合憲化し、批判的立場を無視して強制するものであるということや、戦没者追悼式での明仁の発言は、裕仁の戦争責任も、戦後のアメリカへの戦争加担とともにあった「平和」の問題点をもないまぜにするものであることが指摘され、最後に自民党の改憲案に対する批判が展開されるなど、網羅的で親切な講演だった。

会場周辺には早い時間から二名の右翼団体の構成員が登場し、トラメを使用して街宣を実施。今回の会場は住宅地の真ん中で、この騒音に住民からの苦情もなされていたが、一〇名ほどの公安警察官は遠巻きにするだけだった。小規模な学習会すら圧殺されかねないこうした状況に、なんとか反撃していきたい。

次回は一〇月二五日、立川自衛隊監視テント村の井上森さんを講師として開催する。今回の参加者は四四名だった。

(蝙蝠)