「共同行動」カテゴリーアーカイブ

【集会報告】8・15反「靖国」デモ  

今年もやってきた8・15。例年どおり、反天連も参加する8・15反「靖国」行動の実行委は、7・30集会と8・15デモを準備し、広く参加を呼びかけていった(7・30集会については前号参照)。気持が落ち込む参院選の結果と、天皇メッセージの後のデモである。街頭では一体どういう状況になるのか、正直なところ不安を抱えながら当日を迎えた。デモ出発前の集合会場は韓国YMCA。二つの会議室を一つにして使わせてもらった。

しかし、デモ参加者は次々に会場に集まってきた。会場の椅子には座りきれず床に座り込む人が大半という状況で、暑い廊下にも人があふれた。八月のこの行動は、本当に集まる人一人ひとりの力の結集で成立していることを実感するのだが、これで今年もデモができると胸をなで下ろした。

デモ出発の前に、簡単なアピール交換会を持った。司会は、八月八日の天皇による事実上の「生前退位」表明としてあったビデオメッセージについて、その違憲性を批判しつつ、それによって事実上の代替わりXデーが始まると指摘。そして、この8・15行動が、新しい形で始まったXデー状況下での、われわれが取り組む初めてのデモであり、最後までやり遂げたい、と発言。会場はやや緊張につつまれた(か?)。

その後、以下の団体からそれぞれの取組について簡単な報告と呼びかけを受けた。お・こ・と・わ・り東京オリンピックの実行委員会から8・21集会について、今年の防災訓練の問題と監視行動への参加呼びかけ、福島原発事故緊急会議、反「海づくり大会」行動への呼びかけ、「機動隊は高江に行くな」の七月から八月連続して行動を行った府中の仲間から、辺野古の闘いを全国へと呼びかける辺野古リレー、辺野古基地建設で実際に工事を請けおっている企業への抗議行動を継続しているStop!辺野古埋め立てキャンペーン、自衛隊観閲式反対行動を取り組む仲間から、そして日韓民衆連隊全国ネットワーク、と実に充実したアピール交換会となった。

二八〇人が参加した今年のデモは、強奪されたプラカードの数は例年より少なく、横断幕も最後まで無事であったし、車の被害もなかったが、相変わらずペットボトルは飛んできたし、参加者が用意した旗が壊され、歩道側で横断幕を持っていた人は、右翼によってその横断幕を引っ張られて指を骨折するなど、ひどい状況であったことに間違いない(詳細は一〇月発行予定の、実行委報告集参照)。

参加したみなさま、お疲れさまでした。賛同してくれたみなさま、ありがとうございました。これから本格的に始まる代替わりXデー。ともに考え、行動をつくり出しましょう!

(大子)

【集会宣言】「聖断神話」と「原爆神話」を撃つ 8・15反「靖国」行動 集会宣言

参院選の結果、改憲勢力が衆参両院で改憲発議が可能な全議席の三分の二を超え、また日本会議の副会長でもある小池百合子が東京都知事に当選し、そして第三次安倍改造内閣に、4・28と8・15に靖国神社を、閣僚であった時期も含めて欠かさず参拝してきた稲田朋美が防衛相となる──。このような時代状況のなかで、われわれは今年も、8・15反「靖国」行動を迎えた。

安倍政権下、具体的に「戦争をする」国家体制は日々現実のものとなっている。中国や朝鮮の脅威を煽り、沖縄を日米の前線基地にするために、先島への自衛隊配備や、大量の機動隊を辺野古や高江に投入して、暴力的に新基地建設を推し進めようとしている。「日米同盟」のためのパフォーマンスは、「伊勢志摩サミット」にともなうオバマの広島訪問においてもみられた。そこでは、原爆殺戮の当事者であるアメリカ政府の代表者であるオバマも、植民地支配と侵略戦争の結果として、原爆被害を招いた日本政府の代表者である安倍も、その戦争犯罪について謝罪することなく、原爆の死者を日米同盟の強化、「和解と未来志向」の場へと利用したのだ。

8・15もまた、戦争の死者を利用し尽くす場である。本日、天皇出席のもと九段で行なわれている「全国戦没者追悼式」は、戦争の死者を戦後日本の「平和と繁栄」のための「尊い犠牲」として称えることで、人びとを死に追いやった日本国家の責任を解除する欺瞞的な儀式である。8・15はけっして戦争終結の日ではなく、「終戦の詔勅」の「玉音」が放送された日に過ぎない。にもかかわらず、この日が「終戦の日」とされていることは、「戦後日本の平和」が天皇の「ご聖断」によってもたらされたとする神話を再生産していく。

そしていま、いわゆる明仁天皇の「生前退位」の意向表明によって、新たな形態での天皇の「代替わり」が開始された。

八月八日の天皇の「玉音放送」が示したことは、憲法解釈学においても論点となっている、「天皇の仕事」とは何であるのかということを天皇自身が決め、そしてそれを天皇が円滑に遂行するためのシステムをつくるように促したという事実である。その行為も、それを当然のように受け入れる心性も、民主主義とはほど遠い態度である。憲法の天皇条項は、こうした現実政治への関与を防ぐために、かつての天皇制国家への反省として定められた。天皇の行為は明らかに違憲の行為だ。

天皇の憲法違反は許されない。そもそも、天皇の「公務」自体はいらない。天皇制そのものが廃止されなければならない。本日のデモは、今後数年間にわたる、天皇主導の新たな天皇制づくりに反対する最初の街頭デモともなる。最後までともに闘おう!

【集会報告】8・15実前段集会 「聖断」のウソ─天皇制の戦争責任を撃つ

「聖断神話」と「原爆神話」を撃つ8・15反「靖国」行動は、今年も、七月三〇日の前段討論集会と八月一五日の当日行動の組み合わせとして進められている。

始まったばかりの、天皇自身によって領導される「天皇制の代替わり」過程のなかにあって、そして同時に、安倍政権の推し進める「改憲」過程のなかにあって、日本国家の植民地支配、戦争・戦後責任を、歴史として問い直しながら、現在の私たちを含む社会全体にとっての課題として打ち出していくことは、より重要な意味を持っている。

今回は、講師として、いつも私たちの行動に参加し伴走してくれている千本秀樹さん(日本近現代史研究)に、「『聖断』のウソ─天皇制の戦争責任を問う」と題した問題提起をしていただいた。

昭和天皇裕仁の終焉が近づいた時期になって、「昭和天皇は平和主義者であった」という捏造がメディアに広く流通し始めた。それまで主体的・能動的に政治と戦争を指導してきた裕仁は、悲惨なアジア太平洋戦争における日本の敗戦が蔽いようもなく明らかな最終期になって、その側近たちとともに、天皇制を戦後に生きのびさせるための大掛かりな工作を開始した。それは、連合国なかでもアメリカの戦後構想に、天皇制国家日本をビルトインさせるものだった。その中で、戦争責任はBC級戦犯、A級戦犯に案分され、天皇の「聖断」により戦争が終結し「一億総懺悔」するという虚構が成立させられた。国家の犯罪を明らかにする多くの事実や資料は隠滅された。戦争責任を一つひとつ具体的に問うことが、戦後における民主主義の出発点になるはずだが、それらの多くは現在に至るまで未決のままだ。

千本さんは、講演の中で、天皇と軍をめぐる歴史事実を細かく俎上にしながら、それがどのように神話化され、書物や映画などにおいて流通しているかを話されていった。こうした事実を踏まえて考えることは、いままさに明仁らが進めている天皇制国家の改造を、思想的、政治的につきつめて捉えていくことにおいて、最重要のことだ。「平和」を僭称しながら進められる戦争体制と、今後もよりいっそう闘っていかねばならない。

集会は文京区民センターで開催、参加者は四十数名だった。

(蝙蝠=反天連)

【集会報告】天皇行事の『海づくり大会』はいらない!海づくりは、海こわし 7・18討論集会

天皇制翼賛体制を全国各地に作りだす三大天皇行事の一つ『第36回全国豊かな海づくり大会─やまがた』が「森と川から 海へとつなぐ 生命のリレー」を大会テーマとして今年九月一〇日、一一日に山形県で開催される。現地で反対闘争が準備されていることから、七月一八日築地社会教育会館で、「8・15反『靖国』行動」主催で五〇人弱が参加して標記集会を開催した。

集会は、天皇アキヒトの「生前退位」の意向報道─新たな天皇Xデー攻撃への最初の反撃の集会として開始された。

鈴木雄一さん(反戦反天皇制労働者ネットワーク・山形)は、「東北(支配)と水産業」と題して「東北」、放流行事会場である「鼠ヶ関」(ねずがせき)という地名は、外敵の住む北のはずれを意味する蔑視感があふれている。さらに東北は戊辰戦争で朝廷にさからって以降、仙台におかれた第二師団を中心に経済と行政がつくられてきたなど東北の歴史を語った。今回山形「海づくり大会」の式典会場である酒田市も製鉄業など軍需産業のまちとして形成された。東北は「明治」に二回の天皇行幸が行われたが、その目的は自由民権運動弾圧と軍隊の慰労が主であり、軍隊を通して天皇制が入って来るというのが東北の歴史であった。そして山形「海づくり大会」は福島原発事故による海洋汚染を隠蔽し、被害者切り捨ての天皇による鎮撫工作である。復興を演出のための、天皇のための行事であると弾劾し、現地闘争への参加を呼びかけた。

天野恵一さん(8・15反「靖国」行動)は、「天皇行事の政治的意図」と題して、今後の天皇儀礼は、全部Xデープロセスで演出される。棄民化政策、被災者の切り捨てを行いながら『震災の復興』を演出する。その総仕上げは、『復興』茶番の東京オリンピックだ。護憲派の総崩れの中で、「違憲の行為はやめろ」という土俵で共闘する運動をどのように作っていくかが問われていると訴えた。

新たなXデー攻撃の中で「8・15反『靖国』行動」や天皇行事反対闘争の重要性を実感させる集会であった。

(野村)

【集会案内】「聖断神話」と「原爆神話」を撃つ 8.15 反「靖国」行動

■「聖断神話」と「原爆神話」……この二つの大嘘によって戦後が始まった。

■この大嘘(神話)は、日本の侵略戦争・植民地支配における天皇制の責任と、無差別大量殺戮という米国の戦争犯罪を隠蔽するためであった。そして、戦後の米国による核・軍事力を背景とした世界支配戦略を可能にし、日本では、天皇制の象徴天皇制というかたちでの延命(戦争責任を取らない体制)を可能にした(それによって「靖国信仰」も延命させた)。

■米大統領がヒロシマ訪問で謝罪しない、日本政府も謝罪を求めない……この歪んだありようも二つの大嘘に起因する。こんな戦後は一刻もはやく終わらせなければならない!
71 年前に時間を巻き戻し、天皇制の戦争責任を追及し、あるべき戦後の姿を作り直そう!

■二つの大嘘(神話)を撃つ、8.15 反「靖国」行動に是非参加を!

[前段討論集会]
「聖断」のウソ  天皇制の戦争責任を問う

講 師 千本秀樹 さん(日本近現代史研究)
[日 時] 7 月30 日(土) 17:45 開場/ 18:00 開始
[会 場] 文京区民センター 2A 会議室(地下鉄春日・後楽園駅)
[資料代] 500 円

8.15 反「靖国」デモ
[日 時] 8 月15 日(月) 14:30 集合/ 16:00 デモ出発
[集合場所] 在日本韓国YMCA 3 階
(JR 水道橋駅より徒歩9分、地下鉄神保町駅より徒歩7分)

主催 ●「 聖断神話」と「原爆神話」を撃つ8.15 反「靖国」行動
連絡先 090ー3438ー0263
【呼びかけ団体】
アジア連帯講座/研究所テオリア/戦時下の現在を考える講座/立川自衛隊監視テント村/反安保実行委員会/反天皇制運動連絡会/ 「 日の丸・君が代」強制反対の意思表示の会/靖国・天皇制問題情報センター/連帯社/労働運動活動評議会

【呼びかけ】「聖断神話」と「原爆神話」を撃つ 8・15反「靖国」行動への参加・賛同を

五月二七日、「伊勢志摩サミット」に出席していたオバマ米大統領は、現職大統領として初めて広島を訪問した。広島でのオバマ訪問は「歴史的出来事」とされ、マスコミの世論調査で、九割以上の回答者がオバマの広島訪問を「よかった」と答え、それを「コーディネート」してみせた安倍政権の支持率も上昇した。

オバマは広島で「核兵器のない世界を目指す勇気を持たなければならない」と述べたが、それはなんら具体性を伴うものではなく、むしろオバマ政権は核関連予算を増大し、新型核巡航ミサイルなどの「近代化」をすすめるとしている。そして何より、オバマは原爆がこの地にもたらした非人道的な大量無差別虐殺行為について、なんら謝罪することはなかった。アメリカは始めから謝罪を拒否していた。今回のオバマの広島滞在も五〇分にすぎず、原爆資料館には、一〇分もいなかった。そして日本政府もまた、謝罪を要求しなかったのである。

安倍首相は五月中旬、「被爆国の首相と、核兵器を使用した国の指導者がともに犠牲者に哀悼の誠をささげることが核のない世界に向けての一歩になる」と語り、当日も「日本と米国が、力を合わせて、世界の人々に『希望を生み出す灯』となる」と宣言した。また、オバマは、そこから広島へ向かった米軍岩国基地において海兵隊員を激励し、日米同盟が「繁栄の基礎だ」と述べ、広島訪問の意義として「元敵対国が単にパートナーだけでなく、親友、最強の同盟国になれる」と強調している。二五日に行なわれた日米首脳会談においても、沖縄における米軍属による女性殺害・死体遺棄事件への大きな怒りが高まっているのに、「基地縮小」はおろか「日米地位協定の見直し」すら安倍は口にしなかった。

結局、オバマと安倍が広島でおこなったことは、「日米同盟」強化のためのパフォーマンスにすぎなかった。安倍が進める全国家的な再編は、戦争体制構築をその重要な環として進んでいる。自民党改憲草案は、立憲主義を破壊し「天皇元首化」をも掲げるものだが、「緊急事態条項」などを突破口として改憲を明言する安倍政権において、日米の軍事一体化と修正主義的な歴史認識は同時に追求されなければならない課題である。今回のオバマ広島訪問で演出されたのは、原爆殺戮の記憶を「和解と未来志向」で塗りつぶすことだ。明白な戦争犯罪さえもが、日米の「希望」のための道具として利用されたのである。

安倍はここで自らを、「被爆国の首相」とすることで、あたかも戦争の被害者であるかのような物言いをした。だが原爆殺戮は、近代日本の植民地支配と侵略戦争の帰結として引き起こされた、日米両帝国主義の戦争の過程でおきたことである。アメリカに原爆を投下した責任があるのと同じく、日本にはそれを招いた責任がある。強制徴用された多数の朝鮮人や、連合軍の捕虜をも含む二一万人にのぼる広島・長崎の原爆の死者を生み出したのはアメリカと日本であり、広島においてオバマが被害者に対して謝罪しなければならなかったと同様、安倍も被害者に謝罪しなければならなかったのだ。

こうした中で、私たちは八・一五の反「靖国」行動の準備を始めている。

敗戦七〇年の昨年、私たちは、広島現地で準備された「8・6ヒロシマ平和へのつどい2015」と連動しながら、「戦後レジームからの脱却」を掲げる安倍政権の歴史認識を批判する行動として、八・一五行動を取り組んだ。日本の「侵略」や「植民地支配」の責任の主体を限りなくあいまいにし、「未来志向」を謳い上げた「安倍談話」の思想は、今回の広島訪問における志向性と通底している。そして私たちが忘れてはならないのは、本来敗戦の日ではない八月一五日が「終戦記念の日」「戦没者を追悼し平和を祈念する日」とされていることの意味である。いうまでもなく、八月一五日とは、天皇の「玉音放送」がなされた日である。ポツダム宣言の受諾は八月一四日であり、ミズーリ号上での降伏文書への調印は九月二日だ。にもかかわらず、八月一五日が「終戦の日」であるのは、いわゆる天皇の「聖断」によって戦争が終結し、日本国民は救われたとする昭和天皇の神話に基づくといわなければならない。アメリカにおいて、戦争を終わらせ多くの米軍兵士の命を救ったものが原爆であるという神話があり、日本においては戦争を終わらせ多くの日本軍兵士と民間人の命を救ったものが天皇の「聖断」であるという神話がある。戦争の「語り」においてこの二つは対応し、かくして、「原爆民主主義」と「天皇制民主主義」が戦後日本の出発において刻印されることになったのだ。それは安保の「核の傘」を支えとして戦後日本に構造化されている。

私たちは、このようなかたちで、日本の植民地支配責任・侵略戦争責任と、アメリカの原爆大量虐殺の責任とを、ともに隠ぺいしていく八・一五をめぐる歴史認識の欺瞞性を撃つ視点から、今年の八・一五行動を取り組んでいきたいと考える。

安倍戦争国家による海外派兵の拡大が、新たな戦争の死者を生み出すことになるのは不可避だ。そういう戦争国家においては、国のための「死者」を、賛美・顕彰する「慰霊・追悼」儀礼と、そのための場所は不可欠である。靖国神社は歴史的にそのような場所であり続けていたし、戦後も一貫して、国の支援を受けてきた戦争神社である。毎年八月一五日に九段で行なわれる天皇出席の「全国戦没者追悼式」もまた、国家の戦争責任を解除し、戦争の死者を「平和」の礎として価値あるものとする儀式である。首相閣僚の靖国神社参拝をめぐって、それが「政教分離」違反であるとの批判を、安倍は「宗教行為ではなく習俗」であると強弁している。さらに伊勢志摩サミットの初日には、公式行事としてG7首脳の伊勢神宮「参拝」がおこなわれた。これらは、神道非宗教論を掲げた戦前の「国家神道」体制の、新たな装いによる再形成の動きともいうべきものである。

われわれはこうした問題意識に立って、今年の反「靖国」行動を、闘っていきたい。実行委員会への参加・賛同・協力を訴える。

 

 

「聖断神話」と「原爆神話」を撃つ 8・15反「靖国」行動

【呼びかけ団体】アジア連帯講座/研究所テオリア/戦時下の現在を考える講座/立川自衛隊監視テント村
反安保実行委員会/反天皇制運動連絡会/「日の丸・君が代」の強制反対の意思表示の会
靖国・天皇制問題情報センター/連帯社/労働運動活動者評議会

連絡先●東京都千代田区神田淡路町1─21─7 静和ビル2A 淡路町事務所気付
振替●00110─3─4429[ゴメンだ!共同行動]

【集会報告】安倍政権下の日米安保体制と天皇制を問う 4・28—29 連続行動報告

今年の四・二八〜二九連続行動は「安倍政権下の日米安保体制と天皇制を問う」というテーマで設定された。この間、反天皇制を課題とする実行委の行動は、一九五二年四月二八日のサンフランシスコ講和条約と日米安保条約の発効に始まる、沖縄に対する米軍支配の問題を、昭和天皇裕仁の戦争・戦後責任の問題と重ねて提起、二〇一〇年からは「反安保実行委員会」との共闘による連続行動として取り組まれている。今回の闘争は、とりわけ、昨年九月に強行され、今年三月末に「発効」させられたばかりの安倍戦争法下においてのものとして、重要な意味を持つものでもある。施行された戦争法の「集団的自衛権」により、沖縄は米軍と自衛隊の最前線としての存在を、これまでよりさらに厳しく強いられることになった。

四月二八日は、これまでも「沖縄デー」として数々の闘いが重ねられてきているが、この日、実行委は、文京区民センターにおいて屋内集会を開催した。沖縄から日本基督教団うるま伝道所牧師の西尾市郎さんをお招きして「沖縄『構造的差別』の歴史と現在」と題した講演をしていただいた。

現在、自民党は改憲の突破口として、東日本大震災や現在も続く熊本・大分の大震災を利用し、憲法に「緊急事態」条項を挿入しようとしている。これが実現すると、災害などをきっかけに憲法を停止した独裁がすぐに行使されるだろう。西尾さんは、この「緊急事態」法と辺野古における闘いが一つのものだというところから語り起こされた。
沖縄における反戦・反基地の闘いの基底には、沖縄戦における苛酷な経験が語り継がれ、共有されていることが存在する。「蛆が人間を食う音」「人間が腐っていく強烈な臭い」などのリアルな体験が沖縄戦の記憶としてあり、これらが「平和」を希求する意思をつくっているのだ。人の痛みに共感する人間性こそが、辺野古をはじめとする現在の沖縄における闘いの根本だ。だからこそ、私たちの闘いは分断され対立させられてはならない。こうした体験をもとに、平和をアジアとの連帯の中で実現していくことの重要性が、講演の中で何度も強調された。

引き続き、今回の実行委から天野恵一が発言。いま、昭和天皇の「沖縄メッセージ」による沖縄の米軍への売り渡しの事実や「尖閣」諸島など「領土」問題が、歴史修正主義者たちの主要な論点として浮上しており、なかでもR・D・エルドリッジによる歴史解釈の読み替え(「オキナワ論」新潮新書ほか)については、今後も批判的検討が重要になることが、集会資料の解説とともに報告された。

引き続き、会場発言として、一坪反戦地主会関東ブロックの大仲さん、辺野古への基地建設を許さない実行委員会の中村さん、ストップ辺野古埋め立てキャンペーンの芦沢さんから問題提起。さらに、明治公園野宿者への攻撃への反撃を訴えるアピールが反五輪の会よりなされて、集会は締めくくられた。この日はいろいろな行動と重なることもあってか、参加者は七五名だった。

明けた四月二九日には、新宿柏木公園からデモ行動が行われた。出発前の公園において、まず実行委の国富建治から、前日の集会を要約する報告とともに「この『昭和の日』は、天皇制の延命のために敗戦を遅らせ、悲惨な沖縄戦を招いたばかりか、戦後における『構造的沖縄差別』の成立に対しても大きな役割を果たした昭和天皇を賛美する日だ」と提起、さらに前日に引き続いて西尾さんからも発言を受けた。参加者からは、「自由と生存のメーデー」実行委、「伊勢志摩サミットに反対する実行委」による新宿デモの提起、G7茨城・つくばサミット反対を取り組む戦時下の現在を考える講座、「三多摩メーデー」への参加を呼びかける同実行委からのアピールがなされ、デモに出発した。

今回のデモに臨んでは、二月一一日のような不当な規制がなされないように強く申し入れをしていたこともあってか、警察による弾圧は、これまでのなかでは比較的小さいものだった。もちろん、右翼はつきまとい、妨害・暴行をねらう挑発を繰り返したが、私たちは毅然として行動を貫徹することができた。解散地の柏木公園においては、明治公園弾圧の救援会からのアピールを受け、この日の成果が確認されて行動を終えた。参加者は約九〇名だった。

(のむらとも)

*共同行動報告集(2016年6月10日発行)より