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【表紙コラム】

一九八七年、沖縄国体でソフト・ボール会場の「日の丸」を焼き捨てて、その強制に抗議した知花昌一。その行為から三〇年を経た今年の四月二九日、私たちは彼の話を聞く集まりを持った。

私は、この集会の準備のプロセスで大阪へ出かける機会があった(それの直接の目的は高浜原発再稼働反対のための関電包囲行動への参加であったが)。かつて関西で知花裁判を支えた友人をまじえて、ワイワイやった。私が沖縄に何度も足をはこぶようになったのは、東京での知花裁判支援がきっかけであった。裁判活動の思い出話ははずんだ。

実は沖縄「国体」の後は、再スタート二巡目の「京都国体」があり、「沖縄日の丸」抗議をステップに広がりだした、反国体行動が「京都」で全国化し、各地から京都へ支援が集まり、反天皇制運動の合宿が国体行動にあわせて持たれた。そこから〈反昭和天皇Xデー〉闘争の全国的な連絡体制がうみだされ、自分たちが予想もできなかった反昭和天皇Xデー闘争の持続的なもりあがりがつくりだされていったのだ。こういうかつての過程が、話の中で思いだされた。

四・二九集会でも知花の現在まで持続している力強い闘いの報告を受けての、主催者サイドの私の発言でも、この点については少しふれたが、そこでキチンといえなかった事を書いておきたい。

私たちの三十年以前の「昭和Xデー」の運動は、天皇国体という違憲の天皇「公務」への闘いの持続(それは「国体」だけではなく「植樹祭」や「皇室外交」もそうである)の蓄積の中からつくり出された広がりであったのだ。私たちは非政治的象徴天皇にもどれなどという運動をしてきたわけではない。象徴天皇の合憲的「国事行為」そのものの政治性をも問題にしつつ、違憲の「公務」の拡大(政治権能の強化= 実質的「元首化」)を運動的に批判し続けてきたのだ。だとすれば、「生前退位」メッセージによる天皇の違憲の「公務」の積極的拡大=実質的元首化(安倍改憲の先取り)への抵抗の大衆化は、自分たちの持続してきた歴史的な象徴天皇制批判の運動の体験と理論の成果をキチンとふまえるべきだ。

ヒロヒト天皇Xデーもアキヒト天皇Xデーも私たちにとっては連続しているはずである。
(天野恵一)

【月刊ニュース】反天皇制運動Alert 11号(2017年5月 通巻393号)

今月のAlert ◉「恐怖」と「忖度」の合わせ鏡 安倍政権下の「代替わり」に拒否の声を(蝙蝠)
反天ジャーナル◉たけもりまき、捨てられし猫、北
状況批評◉教育勅語の跋扈(北村小夜)
太田昌国のみたび夢は夜ひらく〈84〉◉韓国大統領選挙を背景にした東アジアの情勢について(太田昌国)
ネットワーク◉安倍靖国参拝違憲訴訟、史上最悪の厚顔無恥判決出る(井堀哲)
ネットワーク◉〈11 ・20〉デモ破壊許さず、6・3「帰ってきた天皇制いらないデモ」へ!(井上森)
マスコミじかけの天皇制〈11〉◉「生前退位」と元号(法):〈壊憲天皇明仁〉その9(天野恵一)
【反天連からのよびかけ】03 ◉「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」!? 違憲の法律はいらない! 天皇は憲法違反の象徴!!
野次馬日誌
集会の真相◉ 4・7 天皇静岡訪問反対現地情宣/4・8 おことわリンク連続講座「五輪災害と共謀罪」/4・16 今こそ、排外主義にNO!4・16 ACTION/4・23 「生前退位」と立憲主義/4・29 「日の丸」焼き捨てから30 年
学習会報告◉ 横田喜三郎著『天皇制』(労働文化社、一九四九年)
反天日誌
集会情報

→前号の目次はこちら

*2017年5月9日発行/B5判20ページ/一部250円
*模索舎(東京・新宿)でも購入できます。

http://www.mosakusha.com/voice_of_the_staff/

【学習会報告】天野恵一責任編集『インパクション臨時増刊天皇Xデー状況を撃ち返せ!』(インパクト出版会、一九八八年)

今回のテキストは、ヒロヒト「Xデー」状況の中で書かれた諸論文、八〇年代国際化や情報化が進む中で天皇制がせり出す中、反天連の天野さんが交わしてきた対論集、そして「Xデー」状況で出された各種団体の声明文等の三部構成となっている。

すでに八〇年代の反天皇制運動では、非政治性や非宗教性を建前としながら政治力を貫徹している象徴天皇制への分析視角が、アキヒト天皇制へのそれとしても有効なものとして、かなり出そろっていることが読みとれる。もちろん、ヒロヒト時代の批判だから、その後のアキヒト天皇制の展開は予想を超えたものとして限界はあるものの、それはやむをえまい。決してヒロヒトでは成しえなかった「天皇制の最高形態」が、アキヒト天皇制で追求され、完成されてきたということでもあるだろう。

学習会では、当時の分析から「Xデー」後の展開も踏まえ、今の状況をどのように捉えるか、論者に改めて聞きたいという意見が出された。

対論では、天野さんは天皇制の政治力を正面に据えて問題を立ててきた経緯を、対論者は日常の中における天皇制との関わりを契機とした関心へのこだわりを語るのだが、議論の中で両者の認識が共有されていく様子がわかり、興味深かった。また、対論だからこそ、「Xデー」状況の「自粛」がマスコミ報道の過熱の下で勢いよく拡大し、直接的な右翼の暴力がなくとも身近な関係の人々が「自粛」へと呑み込まれていく当時の社会の雰囲気がよりつかめるものとなっている。一方で、全国各地で噴出する「自粛」ムードへの疑問や批判は、それまでの象徴天皇制に反対する具体的な論理と運動があったからこそ、より一層の拡がりと高揚をつくり出せたのは間違いない。いずれにせよ、アキヒトは父の「Xデー」から、多くのことを学んだことは確かだ。私たちは、ヒロヒト「Xデー」に対する闘いの中から、何を学び、準備していくのか。議論していきたい。

次回のテキストは、最高裁長官を務めた国際法学者、横田喜三郎の『天皇制』。四月二五日七時から。

(川合浩二)

【書評】『一からわかる共謀罪:話し合うことが罪になる

三月二一日、政府は「共謀罪」(組織的犯罪処罰法改正案)を閣議決定した。
四月中に法案の審議に入り、通常国会での成立を目指すという。

共謀罪は、「国内における立法事実はない」けれども、「国連越境組織犯罪防止条約」を批准するために必要であるとして、二〇〇三年以降三度にわたり国会に提出されたが、それが市民運動や労働運動に適用され、思想や内心を処罰するものだという強い批判で、廃案となったものだ。今回は、二〇二〇年の東京オリンピックに対する「テロ対策」が口実として前面に出ているのが特徴である。四度目の法案提出の動きが具体化する中で、「『秘密保護法』廃止へ!実行委員会」「解釈で憲法9条を壊すな!実行委員会」「盗聴法廃止ネットワーク」の三団体によって編集発行されたのがこのパンフだ。共謀罪の解説だけでなく、スノーデン、監視カメラ、GPS、共通番号などに関するコラムも入っていて、読み応えがある。

共謀罪について二本の文章を書いている海渡雄一弁護士は、周知の通り、日弁連の中心メンバーとして共謀罪反対運動を牽引してきた人である。この間も、共謀罪関係の本(『「共謀罪」なんていらない!:これってホントに「テロ対策」』共編、合同出版、『新共謀罪の恐怖』共著、緑風出版)などを立て続けに出している。

詳しくは本パンフを直接読んでいただきたいが、原則として既遂行為のみを処罰し、一部の重大犯罪に関してのみ「例外的に」認められていた共謀を処罰できるようにしていること(対象犯罪は二〇〇六年段階で六一九件、今回の閣議決定では二七七件)が、刑法体系それ自体の転換であること、いわゆる「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団」が対象で、「一般市民は対象にならない」と政府は説明するが、通常の団体が組織的犯罪集団に「一変」した場合にはその対象になるとしていること、組織犯罪とか共謀とかの認定が捜査機関によって恣意的になされること、(事前監視を必須とするところから)盗聴が共謀罪立証の手段として拡大されること、そしてこの法案が戦争法と一体のものであることなど、その危険性が明確に指摘されている。治安維持法との比較で、それが「国体(天皇制)の変革、私有財産否認という目的の限定」があったのに比べて、共謀罪は羅列された「犯罪を目的とする団体であればよく、拡大解釈の余地がより大きいともいえます」という指摘は重要だろう。

少しだけひっかかりを感じるのは、「共謀罪をつくらなくても『国連越境組織犯罪防止条約』は批准できます」という部分。日本は国連のすべてのテロ対策防止条約を批准し、国内法を制定しているので、政府が主張する「条約批准のため不可欠」という言い方は成り立たない、と主張している。また、すでに「合計71 の非常に重大な犯罪については、未遂以前の行為の処罰を可能とする制度が整っていると言えるのです」という表現もある。もちろん、その指摘は正しく、さまざまな口実を設けて悪法を強行しようとする政府に対して鋭く迫る論理であろう。このパンフでも、それらすでに「整備」された法制度を評価しているわけでは全くない。ただ、「テロ」なる言葉がマジックワードとして拡大することへの警戒だけは常に意識しておきたい。

すでに私たちは、権力による法の無視と恣意的な運用をさんざん見てきた。安倍政権の憲法無視の姿勢は如実だが、警察による弾圧という面から見ても、デモや争議などの弾圧でよく聞く傷害とか強要、建造物侵入・損壊、有印私文書偽造や免状不実記載などの文書弾圧、最近ではレンタカーをみんなで割り勘にしたことを「白タク」行為、労組の名前で会議室を借りたことが詐欺罪にされるなど、一般犯罪が機能的治安法として適用される例は後を絶たない(パンフに資料として掲げられている対象犯罪のリストには「御璽等偽造」という罪名があった。いま確認できないが、これ、「天皇踏み絵ビラ」でやられたやつではなかったか?)。それらがすべて、今回対象犯罪になっているわけではないようだが、「共謀」があったと認定されるだけでこれを犯罪化し、事前の捜査が可能になるとすれば、それは警察権力に弾圧のための一層の道具を与えることしか意味しない。

警察や検察の違法捜査を「是正」するためと称して、一部可視化と引き替えに盗聴対象犯罪を拡大し、司法取引制導入など「新捜査手法」を盛りこんだ刑訴法「改正」法案も昨年五月にすでに成立している。共謀罪とセットでこれらもより「有効」なものとなるだろう。警察国家・監視社会はおことわりだ!

●二〇一七年一月発行/頒価200円/入手方法などの連絡は日本消費者連盟(e-mail: office.j@nishoren.net )まで。

(北野誉)

【書評】『歴史は墨でぬりつぶせない:アジアの歴史と女性の人権』『〈平和の少女像〉はなぜ座り続けるのか』

二〇一五年一二月二八日、日韓外相会談が突然に発表され、日本政府と韓国政府により、「慰安婦」問題が「最終的かつ不可逆的に解決されることを確認」したとされた。

この政府間「合意」が、国家の犯罪に対する責任を明らかにして当事者への謝罪を行なうものではないことは、当初から明白だった。そもそも安倍らは、一貫して日本が侵略戦争をしたという事実も、性奴隷制の事実も、これに関する国家の責任も否定してきた。不十分ながらではあれ、これらへの国家関与の責任を認める方向を打ち出した河野談話や村山談話などすら否定し、「自虐史観」であると宣伝して唾を吐きかけてきたのは、日本会議をはじめとする、政界・財界・宗教や学界などのグループであり、九〇年代後半以降、安倍らはこうした勢力の代表としてふるまってきたのだ。

そしてもちろんこの政府間「合意」の後にも、安倍は国会などの場における公式の謝罪を拒み、安倍の思想を汲む議員やその周辺からは「慰安婦は職業的売春婦だ」などとして、彼女らを侮辱し「合意」が空文であることを示した。形式的に国家間の共同的な確認であるからといって「合意」なるものが重い意味を持つはずもない。また、これがそもそも米国の東アジア戦略に基づいた日韓政治の「調整」でしかなかったこともはじめから自明だった。「合意」は、むしろ「最終的かつ不可逆的に解決」したという国際的な虚偽のための「免罪符」としてこそ機能したのだ。これに対しては、国連女性差別撤廃委員会などの人権機関からも強い批判がなされている。

中原道子の「歴史は墨でぬりつぶせない:アジアの歴史と女性の人権」は、「河野談話」以降に、これを単なる政治家の認識の表明にとどまらせず、実質のあるものとさせるべく積み上げられてきた、主として民間の各団体や歴史家らによる事実の確定作業や、司法や行政に対する働きかけの努力と成果などを具体的に示している。さらに、こうした日韓における共同的な作業に対し、安倍や橋下らのような極右政治家がどのような対応をしてきたかについても、年表により時系列で振り返っている。この本は、決して大部のものではないが、「戦後七〇年」を機に、さらに進められようとした歴史修正主義に対抗する重要な橋頭保となったものでもある。

朴槿恵の失脚により、さきに触れたような日韓政府間「合意」も、その「効力」を喪失していくだろう。したがって、私たちは、この問題を本来あるべき位置に置きなおし、被害の当事者の声に寄り添う立場から考えていかなければならない。この本は、戦争犯罪がどれほど深く人間を傷つけるものであるのか、それを糺していくための作業がどれほど困難であり、また、だからこそ価値のあるものであるかということを示しており、今だからこそ、あらためて読まれるべきものだ。

韓国の芸術家キム・ソギョン、キム・ウンソンによる〈平和の少女像〉は、韓国で一九九二年からずっと続いてきた「水曜デモ」の一〇〇〇回を記念して、二〇一一年にソウル日本大使館前に建立されたことにより、その闘いのシンボルとして大きい意味を持つことになった。いま右派にとって「日韓合意」とは、この少女像を撤去させる「合意」であるとまで認識されているとも言えよう。

しかし、こうしたモニュメントが重要な「意味」を持ってきたのはなぜか。それは何よりも、日韓の政府、とりわけ日本政府が、軍隊の犯罪を隠蔽し、被害者の声を圧殺し侮蔑を浴びせ続けてきたことによるものだ。彼らは、時とともに被害者がすべてこの世を去り、告発の声が発せられなくなることのみを望んできた。
だから、いつまでもそこにあり続ける〈平和の少女像〉が、黙しながらなお問うている歴史事実に怯え、敵視するのだ。

「Fight for Justice 」のスタッフによって制作されたこの本は、国際的に設置が広がる「少女像」の意味ばかりでなく、各国に存在する「戦争記念碑」のもたらす役割をも厳しく指弾するものでもある。そして、少女像に対するさまざまな「批判」にも、反植民地主義、民族主義、女性差別など、いくつもの問題意識から反批判がなされている。〈平和の少女像〉のもたらすものが、すでに「シンボル」を超えたものとなっていることを、この本は強く感じさせてくれる。

●中原道子『歴史は墨でぬりつぶせない:アジアの歴史と女性の人権』(発行:スペース伽耶/発売:星雲社/定価: 本体1200円)
●日本軍「慰安婦」問題Web サイト制作委員会・編 岡本有佳・金富子責任編集『増補改訂版〈平和の少女像〉はなぜ座り続けるのか』(発売: 世織書房定価: 本体1000円)
http://fightforjustice.info

(蝙蝠)

【今月のAlert】ここまできた「翼賛国会」を許すまじ、そしてまずは4.29行動へ!

またしても、疾風怒濤の一ヶ月が過ぎた。深刻かつ緊急を要する課題が私たちの頭上を猛スピードで駆け巡る。沖縄への米軍基地押しつけ問題、共謀罪、原発、オリンピック、森友学園等々、具体例は出し尽くせない。そして、目をそらせばそれらは大きな波の中に埋もれてしまい、見なくてすむかのごとき錯覚を作り出す。間違いなくその大波は私たちを襲ってくるのだが。

当然、その怒濤には天皇の「退位」をめぐる問題も含まれている。ただ、その深刻さ・緊急性の高さに比し、直接的な被害・加害、あるいは社会的弊害は極端に見えづらいものとしてあり、天皇制を問題であると捉える人びとは少なく、むしろ無関心的容認派が圧倒的なマジョリティとしてある。私たちは、さまざまな課題にゆさぶられ、社会が根底から崩されつつあるいまの事態に、私たちの役回りとして、これまでどおり天皇制の問題を訴えていかねばと改めて思う。

天皇の「退位」については、一月の「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」論点整理が示した「一代限りの特例法」を下敷きに、衆参両院正副議長が「議論のとりまとめ」で各党・各会派との調整と修正を重ね、三月一七日、与野党がそれに合意、三月二二日には有識者会議の四人の専門家へのヒアリングと続いた。「とりまとめ」では大枠の形が出され、さらなる「天皇の意向」や宮内庁主導で動く事態も見えてきている。また、「退位問題」をめぐる言説が、天皇制をより差別的・権威的なものに再定義するという、お馴染みの事態も生じている。

特例法の名称は「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」。民進党をはじめ、「恒久法」を求めていた党・会派を合意させたのは、典範の付則案として出された「天皇の退位について定める『天皇の退位等に関する皇室典範特例法』は、この法律と一体をなすものである」の一文だ。報道によれば、「天皇の退位」ではなく、「『今上天皇の退位』として、今の天皇だけというニュアンスを強めたい」と主張していた安倍の妥協の結果という。これで、「一代限り」だが「将来の天皇が退位する際の先例」になるということらしい。苦し紛れの「苦心の『総意』」ということだ。

「恒久法」派で粘った民進党に「とりまとめ」合意に向かわせたカギはもう一つある。「【安定的な皇位継承】政府は女性宮家創設等を検討する」の一項目だ。
二〇一二年末の民主党政権下の「女性宮家」創設騒動は記憶に新しい。実は民進党への「配慮」による修正はほかにもある。「特例法」に、退位に至る事情の一つとして天皇の「お気持ち」を明記するというのだ。「恒久法」を主張する派は、もともと天皇の意向を忖度する政治を是とするからこその「恒久法」派なのだが、これが極右安倍政権に対する圧倒的マジョリティであることの問題は深刻この上ない。民進党の野田幹事長は「特例法」を「事実上の第二皇室典範」と喜び、翼賛国会は続く。「国民の総意」は無視。

細々としたことについても案は出そろいつつある。天皇の退位後の呼称は「太上天皇」の略称とされる「上皇」案が優勢。敬称は「陛下」。葬儀は「大喪」。墓は「陵」。補佐機関を「院宮職」(「院宮」は退位後の天皇を表す)。「品位が保たれる額」の経費確保。すべて「格下げ」にはできない、という理由だ。秋篠宮は「皇太弟」か「皇太子」案と「秋篠宮」踏襲の政府案、待遇は皇太子と同等。天皇は、退位後の公的活動を退く意向を表明。懸念されていた「二重象徴」をこれで回避するという。住居は退位後は現在の「東宮御所」で調整。新天皇は「御所」、秋篠宮は現在の「宮邸」を増改築など、宮内庁が検討しているという。憲法も法律も国家予算も、天皇の「意向」一つで簡単に変えられるという「先例」が作られ、それが新しい天皇制として認識され始めている事態となっている。

最後に「女性宮家」について少しだけ。伝統主義右派は「女性宮家」反対の理由として「女系天皇に道を開く」と言ってきたが、そのことは私たちも知っておくべきであろう。「女性宮家」に男子が産まれた場合どうするのか、さらに差別的な規定をつくって一族から排除するか、皇位継承者の一人とするのかという問題がすぐに生じるわけだ。あるいは、女性宮家に入る男(「民間人」)はいるのか?その待遇は?ウンザリする話ばかりだ。こんな制度はさっさとやめるしかあるまい。

このようななか、私たちは、4・28 -29 行動として四月二九日に集会とデモを準備中である。沖縄から知花昌一さんをお招きし、「日の丸」焼き捨てから三〇年、「沖縄にとっての天皇制と日米安保」について語っていただく。

天皇制の問題は広くて大きい。一つひとつ自分たちの課題として提示していきたい。多くのご参加を!

(桜井大子)

【表紙コラム】

いやはや国会中継をこれほど面白く観たことはなかった。森友学園の籠池理事長の国会喚問での姿は実に視聴者を楽しませてくれたと思う。視聴率が16%を超えたというのもうなずける。

「トカゲのシッポきり」にはさせないと覚悟した男のパフォーマンスには痛快さがあった。こういう言い方は西の方からつっこまれそうだが、「浪花漫才」を感じてしまい、「よしっ!ガンバレ籠池のおっさん」などと、つい思わずその場は応援したくなってしまったのである。

園児に教育勅語を暗誦させるとんでもない幼稚園があるという話は、数年前に「天皇制」「日の君」問題に関心のある周辺では話題になった。

それは安倍晋三による教育基本法の改悪がなされ、天皇を元首とした「美しい国」作りの流れのなかにある。いよいよそのようなことが容認される時代になったのねと、極右安倍政治の始まりと同時にうす気味悪さを感じたものだ。

安倍首相はじめ稲田防衛大臣、自民党の面々はこの1948 年に衆参両院で失効が決議された「教育勅語」に肯定的である。騒動の登場人物たちの顔ぶれをご覧あれ。まあ揃いも揃った歴史修正主義たちである。そもそも今回の学園問題もその彼らの思想の共鳴が発端である。

彼らが創設を望んだ「瑞穂の國記念小學院」は、今回の騒動でなくなった。しかし、この騒動の片方で、来年度から教科化される道徳の教科書検定の結果が発表され学習指導要領には、中学武道に「銃剣道」が追加された。この極右政治家たちの道徳観が公然と押し付けられるわけだ。籠池さんの奮闘もトカゲのシッポになりそうだし、それを許す世論は、道徳教科書も「銃剣道」もすんなり受け入れるのだろう。あ~土の中で冬眠していたい。♪春よこい、早くこい。
(桃色鰐)

【月刊ニュース】反天皇制運動Alert 10号(2017年4月 通巻392号)

今月のAlert ◉ここまできた「翼賛国会」を許すまじ、そしてまずは4・29 行動へ!(桜井大子)
反天ジャーナル◉つるたまさひで、宮下守、映女
状況批評◉天皇の生前退位-安倍政権のもうひとつの根拠法の無視(島川雅史)
書評◉『歴史は墨でぬりつぶせない:アジアの歴史と女性の人権』『〈平和の少女像〉はなぜ座り続けるのか』(蝙蝠)
書評◉『一からわかる共謀罪:話し合うことが罪になる』(北野誉)
太田昌国のみたび夢は夜ひらく〈83〉◉現政権支持率の「高さ」の背景に、何があるのか(太田昌国)
マスコミじかけの天皇制〈10〉◉〈3・11 災後〉六年・原発再稼働と「生前退位」:〈壊憲天皇明仁〉その8(天野恵一)
野次馬日誌
集会の真相◉ 2・25/3・3オリンピックおことわリンクIOC(International Okotowari Convention )企画/3・8 警視庁機動隊の撤退を求める住民訴訟第1回口頭弁論/3・11 原発事故隠蔽・責任放棄の3・11 「天皇・皇族出席の追悼式典」反対!核・原発を止めよう!
学習会報告◉ 天野恵一責任編集『インパクション臨時増刊 天皇Xデー状況を撃ち返せ!』(インパクト出版会、一九八八年)
反天日誌
集会情報

→前号の目次はこちら

*2017年4月4日発行/B5判16ページ/一部250円
*模索舎(東京・新宿)でも購入できます。

http://www.mosakusha.com/voice_of_the_staff/

【学習会報告】横田耕一『憲法と天皇制』(岩波新書、一九九〇年) 

戦後の象徴天皇制の問題を憲法との関係から新書一冊にまとめた本で、学習会テキストやレジュメの元ネタとして活用していた人が今回続出したが確かによくまとまっている。刊行は九〇年、前回代替わりの真っ只中なのでこの本であつかわれているのはヒロヒトの象徴天皇制だが、基本的な問題は当然出そろっている。

三章「天皇の権威強化を支えるもの」が最もページ数も多く、中心と言っていいと思われる。日の丸・君が代、元号、各種公的行為、天皇には裁判権が及ばないと述べる裁判所、と具体的に列挙されている。また五章「象徴天皇制と人権」は天皇制がいかに人権を侵害しているかについて、具体的な運動への弾圧をもとに述べている。一般の読者なら天皇制の持つ抑圧的で暴力的な側面を初めて知り、驚くかもしれない。

しかしそれらよりも僕が気になり、今回議論にもなったのは別のことである。例えば四章「代替わり儀式と象徴天皇制」は代替わり儀式について具体的に実態を見て「憲法的評価」を下す章である。個別に儀式が検討されほぼすべてに「違憲の疑いが濃い」と判断されている。もちろんそうした丁寧な検討は必要である。
同時代に進行中なら尚更にそうだ。だが、あの時憲法学者だけでなくマスコミさえ違憲の疑いが強いと言う中、儀式は行われ続けた。憲法制度として天皇制を論じるに際し「条文をこう解釈するべきである」と憲法学者たちが判断し学会の多数派となっても、現実の政治の中では学者たちが支持しない解釈こそが行われている。実態と解釈がここまで乖離している中、現実には反映されない解釈の正しさを述べながら、憲法学者はどのような思いを抱いているのだろうか? 誠実な憲法学者の限界を本書に見てしまうのは僕だけだろうか。

次回は三月二一日(火)。 テキストはインパクション臨時増刊『天皇Xデー狀況を撃ち返せ!』

(加藤匡通)

【集会報告】天皇はいらない!「代替わり」を問う反「紀元節」行動

二月一一日、日本キリスト教会館で約一〇〇人が参加して標記行動を「実行委」主催で行った。今回は、各地でそれと闘っている人たちと意見交換し、「代替わり」過程総体と対決する共同の行動をつくり出すための集会にしたいとデモ後の集会とした。

昨年の吉祥寺のデモに象徴されるように右翼によるデモへの暴力的破壊が心配されたが、例年に比しても右翼が少なく、警察のデモ規制の酷さが目立ったが最後までシュプレヒコールが途切れない行動だった。

デモ後にも関わらず、会場いっぱいの参加者で集会を行った。実行委から天皇「代替わり」状況をどうとらえるか。憲法論議として天皇問題を論じるべきではないかなど問題提起を行った。続いて井上森さん(立川自衛隊監視テント村)は、11 ・20 の吉祥寺デモで実感したのは私たちの権利なんてほとんどないみじめな状態でこれが現在である。ここに反天皇制の共同性を打ち立てていきたいと訴えた。京極紀子さん(「日の丸・君が代」の法制化と強制に反対する神奈川の会)は、ヒロヒトXデー時と現在の闘いについて報告、酒田芳人さん(安倍靖国参拝違憲訴訟弁護団)は、靖国訴訟の歴史と今後が話され、桜井大子さん(女性と天皇制研究会)は、天皇メッセージに現れた家父長制・血統主義家制度の強化、藤岡正雄さん(はんてんの会・兵庫)は、これまで国体や阪神淡路大震災の被災地訪問など天皇の公的行事に対する闘争を行ってきた。憲法破壊しているのが天皇であり、天皇制廃絶の運動を共につくっていこうなどの多岐にわたる話があった。討論の後、「戦時下の現在を考える講座」とキリスト者の2・11 行動からの連帯メッセージと、「3 ・11 行動」から行動への呼びかけが行われた。時間が足りず、充分な討論が出来なかったが、今年の「生前退位」特別法、その後の「即位・大嘗祭」など天皇「代替わり」に反対する運動につながる集会になった。

(野村洋子)