【月刊ニュース】反天皇制運動Alert 8号(2017年2月 通巻390号)

今月のAlert ◉ 動き始めた天皇「代替わり」スケジュール 天皇も天皇制もやめろ!(北野誉)
反天ジャーナル ◉ ─岡田健一郎、虚偽・ヘイトは「意見」ではない、映女
状況批評 ◉ こんなものを放置しておくとロクなことにならない(加藤克子)
太田昌国のみたび夢は夜ひらく〈81〉 ◉ トランプ政権下の米国の「階級闘争」の行方(太田昌国)
マスコミじかけの天皇制〈08〉◉ 民主主義に皇室制度はいらない!:〈壊憲天皇明仁〉その6(天野恵一)
書評 ◉ 「日本陸軍のアジア空襲―爆撃・毒ガス・ペスト」(梶川凉子)
ネットワーク ◉ 警視庁機動隊の沖縄への派遣を問う─住民監査請求から訴訟へ (岩川 藍)
野次馬日誌
集会の真相 ◉ 1・21日-22日再稼働阻止全国ネットワーク全国相談会1・22五輪ファーストおことわり!オリンピックやめろ!デモ/1・22オリンピック災害おことわり! Read in Speak Out1・22高浜原発うごかすな!関電包囲全国集会/1・24辺野古新基地建設工事再開を許すな!大成建設抗議行動/1・29安倍政権は辺野古新基地建設を断念しろ!新宿デモ
学習会報告 ◉ 加納実紀代・天野恵一編『平成天皇の基礎知識』(社会評論社、一九九〇年)
反天日誌
集会情報

→前号の目次はこちら

*2017年2月7日発行/B5判16ページ/一部250円
*模索舎(東京・新宿)でも購入できます。

http://www.mosakusha.com/voice_of_the_staff/

【集会案内】天皇制はいらない! 「代替わり」を問う 2.11反「紀元節」行動に参加を!

▼日時 2017年2月11日(土)
デモ:13時集合(13時30分出発)
討論集会:15時
*今回は、デモのあとに集会です

▼場所はいずれも
日本キリスト教会館4F
地下鉄早稲田駅

〔問題提起〕
井上森●立川自衛隊監視テント村
京極紀子●「日の丸・君が代」の法制化と強制に反対する神奈川の会
酒田芳人●安倍靖国参拝違憲訴訟弁護団
桜井大子●女性と天皇制研究会
藤岡正雄●はんてんの会・兵庫(兵庫反天皇制連続講座)

2016年夏の、明仁天皇の「生前退位」意向表明と「ビデオメッセージ」によって、天皇主導の「天皇代替わり」が始まった。政府が設置した「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」の第6回会合は、天皇の「公的行為」について、その時々の天皇が「自らの考えで程度、内容などを決めていけばよい。天皇、時代によって異なるべきだ」との認識でおおむね一致したと報じられている。「国事行為」以外の「公的行為」という天皇の違憲の行為を追認しただけでなく、その「公的行為」の内容さえも、天皇が決めてよいという見解を示したのだ。「公務」の拡大を通じた天皇の行為の拡大や、政教分離違反の皇室祭祀の政治的前面化は、安倍政権の下ですすめられようとしている改憲プランとも一致している。
すでに、2019年中の「即位・大嘗祭」が日程に上り始めている。私たちは、神武天皇の建国神話にもとづく天皇主義の祝日(「紀元節」)である2.11反「紀元節」行動を、「代替わり」状況のなかで、天皇制がどのような方向に再編成されようとしていくのか、そして、それと現実的に闘っていくために何が課題かということを、各地で闘いを開始している人びとと意見をかわしながら、「代替わり」過程総体と対決していく行動を共同で作り出していくための場にしていきたい。多くの皆さんの参加を訴える。

天皇制はいらない! 「代替わり」を問う2・11反「紀元節」行動
連絡先●東京都千代田区神田淡路町1-21-7-2A 淡路町事務所気付
振替●00110-3-4429[ゴメンだ ! 共同行動]

【呼びかけ団体】
アジア連帯講座/キリスト教事業所連帯合同労働組合/研究所テオリア/市民の意見30の会・東京
スペース21/立川自衛隊監視テント村/反天皇制運動連絡会/「日の丸・君が代」強制反対の意思表示の会
ピープルズ・プラン研究所/靖国・天皇制問題情報センター/連帯社/労働運動活動者評議会

【集会報告】反天連12.23集会 天皇の「象徴的行為」ってなんだ!? 「代替わり」状況のなかで考える

八月八日の天皇明仁のビデオメッセージによって、にわかに「生前退位」問題が浮上した。「生前退位」とは言うまでもなく天皇「代替わり」である。その「代替わり」に向け、明仁はメディアを通じて国民に語りかけ、国政における法的対応を促した。もちろん、これ自体が違憲行為である。しかも、それは明仁自らが拡大し、推し進めてきた「象徴的行為」を「代替わり」以降も継続し、天皇制を安定的に永続させたいというメッセージだった。そこで本来、国事行為以外を許されない天皇の、「象徴的行為」とは何かを改めて問うべく集会が開催された。

発言者は、浅野健一さん(同志社大学教員)、米沢薫さん(研究者)、天野恵一さんの三人。浅野さんは、リベラルとされる朝日、毎日、東京新聞も、こと天皇報道に関しては賛美一色である。しかも、明仁が「護憲天皇」であるとの認識に立って安倍政権と対立しているかのような報道は問題だ。自らの戦争責任に向き合わず、暴走する安倍政治に追従するマスコミの罪は重い、と指摘した。

米沢さんは、国家は象徴を必要とすると同時に宗教性を持つこと、その象徴には常に暴力性がつきまとうことなどを論じた。そして、天皇制に対する国民の無関心が天皇制を廃絶しようとする力に対して強く反発し、無関心なまま天皇制を維持することを強力に求めるという田川建三や、共同性の喪失、個に解体されていく孤立感を埋めるものとして天皇制の宗教性を利用した国民統合が行われているという桑原重夫の論考を紹介し、今なお有効ではないかと提起した。

二人の発言を受けて天野さんは、奥平康弘著『萬世一系の研究』を紹介しつつ、日本国憲法は国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の三原理に加え、実は象徴天皇主義の四原理で成立してきた。その象徴天皇主義が三原理を拘束し、内側から腐らせてきたと指摘した。その上で、三原則をきちんと確立する運動が天皇制をなくしていくことにつながると語った。

集会参加者は約八〇人。会場からは質問や意見も出て、熱気あふれる集会だった。

(川合浩二)

【集会報告】「天皇賛歌」にうんざり!「女性(的)天皇制」の今とこれから

一二月四日、女性と天皇制研究会(女天研)連続講座が加納実紀代さんを招いて特別講演会を開催した。参加者は五〇人を超えた。

加納さんは、天皇に対する意識調査で、裕仁天皇から明仁天皇に代替わり後、「好感」「尊敬」が上昇し、もともと地を這うような少なさの「反感」がさらに減っていることを指摘するところから話を始めた。そして昨年の「生前退位」メッセージ。有識者会議では「容認」はギリギリ過半数で、一代限りの特別法と恒久制度で意見が割れているが、世論調査では八割以上が「賛成」という、現天皇への支持の高さを紹介する。加納さんの「右翼の反対」「左翼の賛成?」という分析は少々乱暴にも思うが、「リベラル」層の大半が賛成であることには間違いなく、ぞっとする状況だ。

本題はここから。近代以降の天皇が男権性を確立する一方で、皇后が登場することで女性(母)性性を発揮してきたことを、『国体の本義』「畏くも天皇は、臣民を「おほみたから」とし、赤子と思召されて愛護し給ひ……」や、三島由紀夫『英霊の声』「われらの大元帥にしてわれらの慈母……」等を引きながら指摘。そして敗戦後、天皇は女性化し民主天皇をアピールしたとする。「近代天皇制は男性化によって軍事的に拡大し、危機にあたって
女性化することで生き延びてきた」と。

そして現在、天皇の「慰撫」路線は安倍軍事化路線の抑止力になるのかと問い、むしろ民衆の怒りを慰撫・沈静化するものでしかなく、「問題はそれを有り難がり癒される国民の側にある」と手厳しい。しかし対案としての公共的な親密圏の構築も提起された。久しぶりの加納さんの天皇課題の話に会場は共感しながら聞き入った。

質疑応答では、天皇制はすぐに廃止などできないし、まずは「女性天皇」の容認という「目の前の差別」の是正が必要では、との意見が出た。若干の議論があったものの、今後の大きな課題が残ったと思う。

(大子)

【今月のAlert 】「代替わり」を問う一年のスタート 2・11反「紀元節」行動に集まろう!

年末には「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」のおおよその流れが固まったと伝えられる。明仁自身は、退位ないし譲位を可能とし皇位の安定的継承をもたらす方向での、皇室典範など関連法規の大幅な変更を望んでおり、八月八日の「メッセージ」以降も、皇族たちや「友人」などにより明仁の意向が流されている。一二月二三日発表の記者会見ではこれ以上に踏み込む内容は避けられ、「有識者会議」の結論を待つかたちになっているが、今月二〇日から六月一八日までとされる今回の通常国会会期中に、これを成立させることが、天皇の代替わり過程からも日程的に求められている。

安倍らは、トランプ現象によるあからさまにバブルな円安・株価上昇を後ろ盾にした、早期解散をも合わせてもくろんではいるが、とはいえ、そのようなスケジュールが、いかに暴力的な安倍政権下においても容易に実現できるとは考えられない。ましてや、「共謀罪」を新設する「組織犯罪処罰法」の改定までも、今国会に上程されようというのだ。右翼らが「皇室関係の法律を政争の中に置くな」と叫び脅迫する図も、いまから目に浮かぶようだ。

この腐敗しきった安倍の国家が、メディアと「世論」を支配するための道具として用いているもう一つの柱が軍事と外交政策だ。しかし、これも無惨としか言えない状況で、暴力と宣撫工作を拡大することでのみ支えられている。オスプレイの墜落事故は、沖縄・辺野古や高江への基地建設への怒りの正当性をかぎりなく明確に見せつけた。一年以上にもわたって領土問題を宣伝したあげく、プーチン大統領に軽くあしらわれた安倍の宴会政治の失敗ぶりは、嘲笑をしか生み出せなかったばかりでなく、シリアなど中東の状況にも政府や外務省が無能無策であることを印象づけるものだった。鳴り物入りで訪れた真珠湾への「慰霊」とやらは、戦争をインチキ作家たちの生み出す「架空戦記」もどきにしか認識できていない安倍の醜態をさらけ出した。

一二月二五日付で、各国の学者や専門家五三名により、「真珠湾訪問にあたっての安倍首相への公開質問状」が出されている。そこでは、真珠湾攻撃ばかりでなく、真珠湾攻撃に先立って行われたマレー半島をはじめ、アジア太平洋地域の他の地域への攻撃、そして何よりも中国や朝鮮半島における侵略戦争の責任をも問われているのだ。「公開質問状」は、「首相としてあなたは、憲法九条を再解釈あるいは改定して自衛隊に海外のどこでも戦争ができるようにすることを推進してきました。これがアジア太平洋戦争において日本に被害を受けた国々にどのような合図として映るのか、考えてみてください」と結ぶ。ところが、これに対する安倍の「回答」は、じつに露骨なものだった。それこそが、米国訪問にも同席した稲田朋美防衛相による、帰国直後の一二月二九日の靖国神社参拝であったと言えるだろう。韓国・釜山において、一二月三〇日に設置された「平和の少女像」に対して、居丈高に吠える菅官房長官や外相らは、日本国家の侵略戦争への責任や歴史問題が、ますます重大なものとなっていることを世界中に印象づけた。それはまた、天皇であれ首相であれ、これらの事実を「慰霊」などという宗教行為や金で覆い隠すことなどできないことを、この上なくはっきり示している。

これまで書いてきた内容は、しかし、なんと、このAlertの前号からわずかひと月の間に起きたことを、ほんの少しつまんだだけのものなのだ。私たちの前にある課題は、あまりにも大きすぎると、ため息をつかずにいられない。だが、すでに私たちは新たな行動を起こしている。二月一一日の反「紀元節」の行動は、天皇の代替わりに向かう状況の中で、この日本国家が、どれほど虚構に満ち溢れたものであるかを明らかにし、これを撃っていくものだ。「戦後」の日本、「戦後」の天皇制国家が、歴史事実から逃避して神話に逃げ込む、まさに象徴天皇が捏造としてあるゆえんの、汚濁した国家の祝日として捏造されたのが、この「紀元節」である。多くの人々が、この日のデモと集会に参加されることを強く呼びかけたい。

(蝙蝠)

【月刊ニュース】反天皇制運動Alert 7号(2017年1月 通巻389号)

今月のAlert ◉ 「代替わり」を問う一年のスタート 2・11反「紀元節」行動に集まろう!(蝙蝠)
反天ジャーナル ◉まおう鳥、きょうごく のりこ、井上森
状況批評 ◉ 立憲主義と象徴天皇制─生前退位問題を契機として─(中北龍太郎)
太田昌国のみたび夢は夜ひらく〈80〉 ◉ 何よりも肝要なことは「アジアとの和解」だ (太田昌国)
マスコミじかけの天皇制〈07〉 ◉ 「内閣と相談しながら」というコトバの政治的意味:〈壊憲天皇明仁〉その5(天野恵一)
書評 ◉ 「リベラル派」のアキヒト天皇論(千本秀樹)
ネットワーク ◉ ゆんたく高江について紹介します。(ほしのめぐみ)
野次馬日誌
集会の真相 ◉ 12・4「天皇賛歌」にうんざり!「女性(的)天皇制」の今とこれから/12・15 天皇制を考える市民講座─天皇の「生前退位」を議論しよう/12・16 立憲主義と「生前退位」/12・23天皇の「象徴的行為」ってなんだ!?─「代替り」状況のなかで考える/12・23 改憲状況の中の「生前退位」─天皇元首化とどう闘うか?(静岡)
反天日誌
集会情報

→前号の目次はこちら

 

*2017年1月12日発行/B5判16ページ/一部250円
*模索舎(東京・新宿)でも購入できます。

http://www.mosakusha.com/voice_of_the_staff/

【呼びかけ】天皇制はいらない!「代替わり」を問う  2・11反「紀元節」行動への参加・賛同を

七月一三日のNHKの報道、そして八月八日の明仁天皇自身のメッセージ読み上げによって、いわゆる「生前退位」をめぐって、次代の天皇制をどのように再編成していくかが、支配階級にとっての大きな課題となった。
明仁の最大のメッセージは、「天皇が象徴であると共に、国民統合の象徴としての役割を果す」こと、すなわち、天皇制はたんに、いまある「国民統合」を象徴しているだけの受動的な存在なのではなくて、あるべき「国民統合」を積極的に作り出す存在であるということである。そしてそれは、「地方への旅」や式典での「おことば」、国内外における「慰霊」や「海外親善」などをこなしてきた天皇自身の自負に支えられている。しかし、それら「天皇の象徴的行為」なるものは明確な憲法違反の行為である。天皇の行為は、憲法に具体的に明記された名目的かつ儀礼的な「国事行為」のみに限定されており、そうしてはじめて天皇制の存続は許された。
政府は「生前退位」などを論議する「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」を発足させ、すでに一六人のヒアリングを終えて、メンバーによる論点整理に入っている。一二月七日の第六回会合では、「公的行為」については、その時々の天皇が「自らの考えで程度、内容などを決めていけばよい。天皇、時代によって異なるべきだ」との認識でおおむね一致し、また、ヒアリングで賛否が拮抗した「生前退位」については、一定の条件を付けたうえで容認すべきだとの意見が出たと報じられている。「公的行為」の内容を天皇が決めてよいというこの見解は、きわめて驚くべきことである。それは、内閣の「助言と承認」のもとにしかその行為をなしえない天皇の地位を、能動的な君主へと変更することを意味するからだ。
まだ結論は見えないが、当初、すぐにでも「皇室典範」改正まで進むかのように見えた「生前退位」をめぐる論議が、「一代限り」「特例法」の線にまで「後退」していくにあたっては、その保守的家族観から男系主義に固執する安倍をはじめとする右派勢力の引き戻しがあっただろう。しかしわれわれは、このような論議の土俵を先制的に作り出したものが、天皇それ自身の言葉であったということを、再度確認しておかなければならない。
すでに、「平成三〇年」にあたる、二〇一八年中の「即位・大嘗祭」が日程として上り始めている。現天皇の「大嘗祭」は、「国の行事」ではなく「皇室の行事」とされたが、「公的な行為」として臨時の予算が国から支出された。「大嘗祭」や、「即位」にともなう「三種の神器」の承継儀式などは皇室神道の儀式であり、国家が宗教的行為を行うことを禁じた憲法の政教分離原則の侵害にあたる。そして二〇二〇年には、天皇を名誉総裁として戴く東京オリンピックが開催され、それが新しい天皇の、国内外における大舞台のデビューとなるだろう。
こういった「公務」の拡大を通じた天皇の「元首」然としたふるまい、公然たる政教分離違反の皇室祭祀の前面化などが、安倍政権の下ですすめられようとしている改憲プランと、その点においては一致していることは明らかである。天皇の「平和主義」は、国際貢献や「積極的平和主義」の名のもとで拡大している、日米同盟のもとでの自衛隊の海外派兵という現実と矛盾することはない。実際に明仁天皇は、PKOに参加した自衛隊員などへの「接見」を、何度も「公務」として行なっている。そして、8・15をはじめとする、天皇による戦争の死者に対する「慰霊」は、再び戦死者が生み出されようとしているこの時代にあって、殺した国の批判ではなく、国のための死の「尊さ」を謳い上げるための儀式とならざるをえない。
このような状況のなかで、われわれは、2・11反「紀元節」行動に取り組む。いうまでもなく「紀元節」は、神武天皇の建国神話にもとづく天皇主義の祝日である。宮中祭祀としての「紀元節祭」は戦後とりやめとなったが、現在も「臨時御拝」の名で、同様の宮中祭祀が続けられている。それは、日本は天皇を戴く国であるという、イデオロギー的な基礎を、安倍を含む右派勢力に広く提供し続けているのだ。
「天皇代替わり」状況と、それにたいする抵抗はすでに開始されている。「代替わり」に反対する吉祥寺のデモは、大量の右翼の襲撃と、それを容認する警察による厳しい規制に見舞われた。その存在が引き起こす人権侵害に反撃し、「天皇代替わり」過程の総体にどう向き合っていくかが問われている。この2・11を出発点として闘いを開始しよう。

天皇制はいらない! 「代替わり」を問う 2・11反「紀元節」行動

【呼びかけ団体】アジア連帯講座/キリスト教事業所連帯合同労働組合/研究所テオリア/市民の意見30の会・東京
スペース21/戦時下の現在を考える講座/立川自衛隊監視テント村/反天皇制運動連絡会
「日の丸・君が代」強制反対の意思表示の会/ピープルズ・プラン研究所
靖国・天皇制問題情報センター/連帯社/労働運動活動者評議会
連絡先●東京都千代田区神田淡路町1─21─7 静和ビル2A 淡路町事務所気付
振替●00110─3─4429[ゴメンだ!共同行動]

[学習会報告] 奥平康弘『「萬世一系」の研究 「皇室典範的なるもの」への視座』第Ⅱ部(岩波書店、二〇〇五年)

前回報告がなされた第Ⅰ部の続きである第Ⅱ部『明治皇室典範の成立過程─「近代化」と「萬世一系」』が今回のテキスト。構成は、一・皇位継承をめぐって─「庶出ノ天皇」「女帝否認」、二・「天皇の退位」否認をめぐって、終章・「萬世一系」と「天皇の不自由」との関係で成る。

憲法学者である著者は、憲法本体が基礎とする権利保障体系と民主主義(国民主権)原理が、天皇制と矛盾態であるという。 旧皇位継承法の、「女帝」排除に帰結する男系男子のみの皇位継承と皇位の生前譲渡(天皇の退位)に限定し、それがどのようなものであったかという歴史的分析、解釈可能性の追究を通し、〈憲法とはなにか〉〈憲法を解釈するということは、どういうことなのか〉を考える基礎固めとして書かれているが、とても平易な言葉でわかりやすい。

「祖宗の大憲」にもとづく、権威の再構築のスローガンを背景に、明治憲法制定に尽力した井上毅や伊藤博文ら。そこには何の整合性もない。立憲民主主義的には、原理を欠いた「消極的なるもの」という評価の「暫定なるもの」にコンセプトが置かれ、その中身があぶりだされる。今、こうした歴史を踏まえたうえで、天皇制問題を語ることが出来る学者がいなくなったという意見で、学習会では一致した。原理を踏まえた理論的なものではなく、原理原則を棚上げした暫定措置は、日本国憲法に連続して継承されていると著者奥平は言う。終章で語られる「天皇の脱出権」で皆の議論は大いに盛り上がった。

憲法に照らし天皇制を批判していくということを、私たちはもっと丁寧に行うべきではという思いが強まる。

次回は一月三一日(火)、テキストは加納実紀代・天野恵一編『平成天皇の基礎知識』(社会評論社)

(鰐沢桃子)

【今月のAlert 】本格的な「代替わり」論議を始めよう! 12・23集会へ!

一一月二〇日、吉祥寺の井の頭公園でおこなわれた「生前退位!? 皇族解散しろ! 天皇制いらないデモ」に、反天連メンバーもほぼ全員が参加してきた。当日の数日前から、右翼と警察の不穏な動向について流れてはいたが、しかし、あんなにひどい右翼の暴力と警察の横暴を体験することになるとは。それは、私たちの経験でいえば、2・11、4・28─29、8・15デモの過去数年分を引っ張り出し、右翼の妨害がひどかった各シーンを、デモの間中ずっとつなぎあわせてしまったような行動で、天皇代替わり状況が本格的に始まり、私たちのこれからの行動を、腰を据えて考えなくてはならない地点に立っていることを思わせるに十分だった。

七月のNHKによる天皇「生前退位」の意向報道と、八月の、「生前退位」の言葉を一言も入れずに、しかし明確に「生前退位」とそのための法整備に「国民の理解」を求めたビデオメッセージ以降、言論による闘いの必要性を感じていた。そういう思いはますます強くなってきている。

もちろん私たちは、すでに準備を始めた来年の2・11行動をはじめ、デモなどの街頭行動および討論集会等を、これまでどおり準備していく。そのなかで、この天皇の「生前退位」問題をどのように捉えるのか、さまざまな批判の視点を、多くの人びとと共有することが、いまなによりも急がれているように思うのだ。

天皇制が闇の部分として隠し持っている暴力性が、いま全面的に表に出始めている。それは、わかりやすい構造ともいえる。しかし、その暴力性とはまったく無縁の如く存在する現実の天皇は、いまなお、護憲天皇・平和・民主天皇というベールをスッポリかぶったままである。むしろ、安倍政権やそのお友だちと思われている右翼、暴力団的な部分とは対極に鎮座しているというのが一般的な認識であろう。その神話を崩すことができないまま、この新しい事態、生前退位問題、天皇代替わり問題を闘うのは、あまりにも厳しい。いま眼前にある、たとえば代替わりとそれをめぐって出てくるさまざまな事態に対応しつつも、その一歩手前の天皇制の本質的な問題を社会的に共有できるかどうかが、やはり私たちの運動の根本にある課題であることを再認識せざるを得ない。

天皇代替わり状況を、それとして社会にアピールしているのが、天皇の意向を受けて設置された、「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」だ。一一月に入り、七日、一四日、三〇日と、有識者会議ではそれぞれヒアリングを三回開催した。一応、ヒアリング対象者の名前だけは出しておこう。第一回が平川祐弘、古川隆久、保阪正康、大原康男、所功。第二回が渡部昇一、岩井克己、笠原英彦、櫻井よしこ、石原信雄、今谷明、そして最後のヒアリングは、八木秀次、百地章、大石真、高橋和之、園部逸夫。有識者会議については、本紙前号の本欄、今月号の状況批評も参照していただくとして、ここでは一言だけ。

少なくとも、有識者会議の雲行きは天皇に都合のいいようには動いていない。それは最初から見えていたことだ。天皇が何よりも望むのは、アキヒト天皇が築き上げてきた「平成流」象徴天皇制を、安定的に継承させていくことである。それは、つねに「理想的な象徴」という天皇がいる日本社会である。そして、女系・女性天皇も含むだろう皇位の安定的継承であり、女性宮家容認をも含むだろう天皇家・皇族の維持・拡大であろう。

現段階では、それらは何一つ前に進んではいない。ヒアリングの結果は、「生前退位」を容認する専門家は半数だが、その大半は特例法、すなわち一代限りの容認であり、恒久的な法改正を語る専門家は二人のみだ。天皇のわがままをなんとかギリギリ受け入れるという構造に、歯ぎしりする天皇が想像される。新聞にも、焼け石に水のような「長年の友人」の言葉が出てきたりするが、天皇や宮内庁の焦りが見えてくる。

こういった象徴天皇制再編の過程そのものが、天皇制の現在としてある。どちらも象徴天皇制の理想を掲げた、天皇制かくあるべき論と、現実論であり、そのあいだのどの地点に落ち着こうと、現憲法にも、民主主義にも、主権在民の思想にも、基本的人権にも、ことごとく反する天皇制である。そのことを、多くの人びとと共有する言論として私たちは作りだしていく必要があるのだ。
12・23の反天連討論集会は、そのことを大いに意識しながら準備していきたい。多くの方の参加を呼びかけます。本格的な「代替わり」論議と、根本的な象徴天皇制論議を同時に押し進めていこう!

(桜井大子)

【月刊ニュース】反天皇制運動Alert 6号(2016年12月 通巻388号)

今月のAlert ◉ 本格的な「代替わり」論議を始めよう! 12・23集会へ!(桜井大子)
反天ジャーナル ◉ つるたまさひで、宗像充、核女
状況批評 ◉ 政教分離と天皇制(北野誉)
太田昌国のみたび夢は夜ひらく〈79〉 ◉ フィデル・カストロの死に思うこと (太田昌国)
マスコミじかけの天皇制〈06〉 ◉ 「平成代替り」状況に露出する〈暴力とタブー〉:〈壊憲天皇明仁〉その4(天野恵一)
書評 ◉ 『反東京オリンピック宣言』(国富建治)
書評 ◉ 『援護法で知る沖縄戦認識―沖縄戦認識の共有をもとめて』 (千葉宣義)
野次馬日誌
集会の真相 ◉ 11・13天皇「生前退位」と安倍政権を考える/11・20生前退位!?皇族解散しろ!天皇制いらないデモ/11・23被曝労災に対する損害賠償を求める11・23集会
学習会報告 ◉ 奥平康弘『「萬世一系」の研究 「皇室典範的なるもの」への視座』第Ⅱ部(岩波書店、二〇〇五年)
反天日誌
集会情報

→前号の目次はこちら

 

*2016年12月6日発行/B5判16ページ/一部250円
*模索舎(東京・新宿)でも購入できます。

http://www.mosakusha.com/voice_of_the_staff/